2012 Fiscal Year Research-status Report
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23540303
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 隆 京都大学, 基礎物理学研究所, 准教授 (20154007)
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Keywords | 国際研究者交流 / 多添え字直交多項式 / 多添え字ウィルソン多項式 / 多添え字アスキー・ウィルソン多項式 / フックス型微分方程式 / 有理関数解 / 高次の極 / 見かけの特異性の合流 |
Research Abstract |
1自由度の厳密に解ける離散量子力学の研究を進め,多添え字ラゲールおよびジャコビ多項式の理論を基に,多添え字q-ラカー多項式,多添え字ラカー多項式,多添え字ウィルソン多項式,多添え字アスキー・ウィルソン多項式の理論を完成させた.これらは,2階のフックス型微分方程式を差分化したものが,有限個の確定特異点(に対応する物)を直交領域の外側に持つ物になっている.多重ダルブー変換の離散対応物に,仮想状態解を種として作られる. 元の方程式の持つ離散対称性が,仮想状態解の構成に本質的である.また,多添え字ジャコビ(ラゲール)多項式のパラメタを微調整して,高次(2次)の見かけの特異性を持つ2階のフックス型微分方程式(およびその合流)の有理解(大域解)の無限族を多数構成した.これらは,通常のジャコビ(ラゲール)多項式の重み関数(-1<x<1および0<x<\infty)を(ax+b)の4乗 掛ける q(x)の2乗で割った物を重み関数として持つ直交多項式になっているが,その完全性は一般の多添え字直交多項式と同様に保証される.ここで,q(x)は多項式である.更に,遠心力付き調和振動子,ポッシェル・テラーポテンシャル,およびウィルソン多項式アスキー・ウィルソン多項式の場合に,仮想状態解の定義をゆるめて,準仮想状態解の概念を与えた.それを種に,多重ダルブー変換を行った物が,パラメタシフト後の固有関数解を用いたクライン・アドラー変換を行った物に等しいことを示した.これらの関係の元には,古典多項式の満たす無限個のロンスキアン(カソラティアン)恒等式のあることを示し,証明を与えた.これらの結果は,直交多項式理論を大きく書き換える重要な物である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
純虚数シフトの多添え字直交多項式(アスキーウィルソン多項式、ウィルソン多項式)の構成に注力した.正値性・非特異性・自己共役性を満たすパラメタ領域の決定に困難があったが,代数的恒等式の側面を強調した.
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Strategy for Future Research Activity |
多変数の場合のカロジェロ-モーザー系の多添え字直交多項式を,有理および三角ポテンシャルについて構成する.すべてのルート系について統一理論を目指す.次に種々の多変数直交多項式を離散量子力学の解として構成し,その多添え字版を目指す.多変数の場合は、反射群で規制して、すべての粒子が対等に相互作用する場合と、隣り合うものだけに相互作用を制限するものとの両方があり、また有限系での端点(境界超平面)の扱い等多くの解決すべき問題がある。前者はマクドナルド多項式の多添え字版になることが予想される. 多変数への拡張以外に,種々の応用も具体的に進めてみたい.多添え字直交多項式理論は,厳密に解ける誕生・死滅過程や,スピン系とそれを用いた量子情報理論で,perfect state transfer を実現する無限個の可能性を与えるが,その中で,応用的に興味ある物を作ってみたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度に予定していた国内出張が都合により出来なくなったために,未使用金が生じた. 25年度4月以降の国内出張に充てる予定である.
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Research Products
(7 results)