2012 Fiscal Year Research-status Report
ガンマ線バーストの火の玉光球モデルによる米徳関係式の起源の研究
Project/Area Number |
23540305
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 卓史 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80155837)
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Keywords | ガンマ線バースト / 宇宙論 / ダークエネルギー / 中心エンジン |
Research Abstract |
米徳関係式をreducedχ2が1に近い関係にする為にADCL(Absolute Deviation from Constant Luminosity)という量を導入した。36個の精度の良い観測データを持つ継続時間の長いLGRB(Long Gamma Ray Burst)を解析対象に選んだ結果、ADCLが0.17 より大きいか小さいかの2つのグループで異なる大きさを持つ改良型米徳関係式が得られることが解った。それらは、Luminosity Time TL=Eiso/Lpを用いてLp=10**52.53erg/s (Ep/10**2.71keV)**1.84 (TL/7.2s)**0.29とLp=10**52.98erg/s (Ep/10**2.71keV)**1.82(TL/7.2s)**0.85で与えられるが、それぞれのreducedχ2は10.93/14と7.58/8という精度の良いものである。これはセファイド変光星で見られるような2つの種族が存在することを意味しているが、今後はそれが何に対応するのかを明らかにする必要がある。 ガンマ線バーストには継続時間の短いSGRB(Short Gamma Ray Burst)が存在するが、SGRBが米徳関係式を満たすかどうかは未解明であった。その理由は多くのSGRBは暗いのでRedshiftが不明であったり、光子数が少ない為にスペクトルのピークEpが決まらなかったのが大きな理由である。2012年までにredshiftとEpの決まった8つのSGRBを解析した結果、SGRBも米徳関係式を満たすことが解った。その関係式はLp=10**52.29erg/s (Ep/774keV)**1.59で与えられ、その相関係数は0.98で偶然確率は1.5x10**(-5)である。LGRBの米徳関係式より5倍暗いので、その起源の解明が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
米徳関係式を理論的に解明するのが本研究の最終目標である。今年度は、LGRBに対してはADCLの値に応じて2つの改良型米徳関係式が存在することが示せた。それぞれのreducedχ2は1に近くまさに関係式と呼べるものになった。一方、SGRBに対しては米徳関係式が成り立つのかどうかは今まではっきりしなかったが、8つのSGRBのデータを解析することにより偶然確率の小さいSGRBに対する米徳関係式が存在することを示せた。さらに、LGRBの米徳関係式より5倍も暗いと言うことが解った。このように、新たな関係式が明らかになるとともに、その理論的な説明が次の課題として出て来ており、順調に研究が進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ADCLの起源が何なのか?一つにはガンマ線バーストのvariabilityではないかと考えられるが、その方向の研究が1つである。また、精度の良い改良型米徳関係式が得られたので、それを宇宙論に適用してダークエネルギーの性質を調べることが考えられる。また、最近継続時間が一万秒以上の異常に長いsuper Long GRBがあるのではないかと言われて来ているが、super Long GRBで米徳関係式が成り立つかどうかも調べたい。 SGRBにも米徳関係式が成り立つことが解ったが何故LGRBのものより5倍暗いのかという大きな疑問が残る。ブラックホールの質量がその起源ではないかと思っているので、その辺を詰めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度と同様な支出を予定している。具体的には学会、国際会議での成果発表の為の旅費、研究連絡、情報収集の為の旅費、論文の投稿料、パソコン関係の物品費、書籍の購入等である。
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