2015 Fiscal Year Annual Research Report
共形場理論による非自明な背景上の超弦理論の解析とその素粒子模型への応用
Project/Area Number |
23540322
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
菅原 祐二 立命館大学, 理工学部, 教授 (70291333)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 共形場理論 / 超弦理論 / 数理物理学 / 素粒子物理学 / mock modular form / 非対称オービフォルド |
Outline of Annual Research Achievements |
2次元の共形場理論ではコンパクトで幾何学的なターゲット空間を持つ非線形シグマ模型は既に詳細に研究されているが,非コンパクトでかつ非自明なターゲット空間,更には非線形シグマ模型としての解釈を持たない「非幾何学的」な背景の理論においては未解決な点が多く,超弦理論のコンパクト化においても重要性を持つ.本研究課題における主要テーマは,こうした非自明な背景上の超弦理論の物理的・数理的性質を解明することである. 本研究課題では,研究期間全体を通じた一連の非コンパクトな超共形場理論の研究において,楕円種数やトーラス分配関数に出現する「正則アノマリー」と,深く関連するmodular completionについて経路積分に基づく物理的見地から数々の研究成果を上げて来た. 最終年度である2015年度は,N=4超共形場理論ににおけるmoonshine現象についての研究を行った.特に「umbral moonshine」として知られる興味深い数理的な現象に対し,N=4リュービル理論の「双対性」に基づく物理的解釈について詳細に論じるとともに,N=4超共形指標のmodular completionの物理的起源を明らかにした. 一方,interface CFTに基づき,非幾何学的背景を記述する新しいタイプのモジュラー不変かつユニタリーな理論を提案し,模型の詳細の解析について論文発表を行った.更に,非対称オービフォルドによって構成される非幾何学的背景上の超弦理論を用い,超対称性を完全に破りながら1-ループの宇宙定数が消えている新しい超弦真空の構築に成功した.この研究は,理論物理学上の難問とされている「宇宙定数問題」の解明に向けてひとつの可能性を提示するものであり,その意味で重要な研究成果と位置づけられるであろう.
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Research Products
(6 results)