2013 Fiscal Year Annual Research Report
次世代計算機・観測から迫る高エネルギー爆発天体現象の理論的解明
Project/Area Number |
23540323
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
固武 慶 福岡大学, 理学部, 准教授 (20435506)
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Keywords | 超新星爆発 / 中性子星 / 輻射輸送 / 多次元流体計算 / 重力波 / ニュートリノ / 高密度状態方程式 / スーパーコンピューティング |
Research Abstract |
大質量星がその進化の最終段階において迎える超新星がどのような仕組みで爆発にいたるのかは、過去40年以上にわたる宇宙物理学の謎である。この謎を解明する為に欠かせないのは、ニュートリノ・重力波を始めとする先進の宇宙観測、さらには大型計算機を駆使した第一原理に基づく超新星爆発の数値シミュレーションである。以下に述べるように本申請課題では、当初の研究計画に従って円滑に研究を実行し、予想を上回る成果を得ることができた。 本研究課題によりIDSA法という極めて効率の良い輻射輸送法を流体計算に取り入れることで、世界に先駆けてニュートリノ加熱メカニズムで爆発する3次元の超新星モデルを発表することができた。この成果は「爆発を起こすシミュレーションモデルが作れない」という従来の最も大きな問題の解決に向けた大きな弾みを与えたものである。当初の研究計画に従って高密度状態方程式の効果を調べた結果、(核物質の非圧縮率に加え)対称エネルギーの大小が爆発のしやすさに支配的な効果を及ぼすことも明らかにできた。また核燃焼の効果やニュートリノ自己相互作用効果など、従来のスタンダードシナリオにとらわれない新機軸の研究テーマも実行することができた。 上記の研究と並行して、爆発時に放射される重力波のシグナルとその観測可能性を詳細に調べた。その結果、特に非軸対称モードが従来よりも早いタイムスケールでコアバウンス後に成長し、銀河中心の超新星に対しては現在の重力波干渉計の検出限界に届く強い重力波が放射されることを明らかにした。さらにコラプサーと呼ばれる極超新星に付随すると考えられている天体から放射される重力波、中性子星の冷却曲線、爆発に際して放射される高エネルギーニュートリノと重力波の相関観測についても検討し、理論と観測の双方の視点から高密度天体の爆発機構に迫るテーマを開拓・遂行することができた。
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