2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540327
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
郡 和範 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (50565819)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 元素合成 / 超対称性 / 宇宙論 / LHC |
Research Abstract |
本年度では、次に説明する顕著な研究成果が得られた。素粒子の標準理論を超える模型の一つである、超対称性模型において、スカラータウレプトンなどの長寿命の荷電粒子が予言されている。そうした特徴的な性質を利用して、宇宙論に影響を与えるさまざまな効果を調べ、そうした超対称性理論のモデルを検証してきた。特に、宇宙初期に超対称性長寿命荷電粒子がヘリウム4と束縛状態を作った際に、内部にハドロニックカレントが流れるせいで、ヘリウム4自身が崩壊してしまうという全く新しいプロセスを発見し、その宇宙論への影響を明らかにすることができた。宇宙初期にヘリウム4が宇宙全体で壊れてしまうせいで、その崩壊から作られる重水素、三重水素、ヘリウム3の組成比が、観測される値と矛盾する危険性がある。矛盾しないようなパラメーターへの制限を得た。同時にベリリウム7や、リチウム7との束縛状態は、効率的にそれらを壊してくれるせいで、観測値によりよく合わせることができる。ベリリウム7とリチウム7の量は何桁も少ないせいで、それらの崩壊から作られる軽元素は、観測には抵触しない。そのようなパラメーターの許容範囲を得た。ここで示唆された寿命や質量などのパラメーターの情報は、LHC実験などから得られる情報とは独立であり、相補的な意味を持つことから、超対称性理論のモデルパラメーターを探る上で、極めて重要な意味を持つ。この仕事は私の開発した計算コードを下に解析された。この結果を査読付き英文雑誌に出版した。(Jittoh et al,2011)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
埼玉大学の素粒子論のグループと共同で研究を進めているところがポイントとなっている。私と彼らとで役割分担し、それぞれが独立に効率化を図ることにより、当初の計画以上に進展する結果となった。共同研究であるJittoh et al,2011 において、主に宇宙論パートは私が担当している。目標であった時間発展のコードの開発は数か月以内で達成され、のこりの期間は解析と論文の作成に主眼がおかれた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の目標である「長寿命荷電粒子が大規模構造形成と宇宙背景放射の非等方性へ与える影響を計算するコードの開発」について、それぞれの専門家に共同研究をお願いする予定である。佐賀大学の高橋准教授に長寿命荷電粒子がある場合の、宇宙初期の密度揺らぎの計算についての協力をお願いする。これにより、長寿命荷電粒子が存在する宇宙における宇宙背景放射揺らぎの非等方性を理論的に計算する事ができ、その理論値と観測値とを比較することが出来るようになる。一方、東京大学の吉田教授と大学院生の鎌田さんに、数値シミュレーションによる大規模構造形成の協力をお願いする。その構造形成の計算により、長寿命荷電粒子が存在する宇宙のライマンアルファー雲の分布の理論計算が得られ、その理論値と観測値とを比較することが出来るようになる。これらの2つの独立な手法を組み合わせることにより、長寿命荷電粒子の理論パラメーターをさらに強力に制限ことができるようになると期待している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に購入予定していたラップトップコンピューターとデスクトップコンピューターを買っていなかったので、次年度に回す予定である。設備備品としてラップトップコンピューター(400,000円)、消耗品費としてデスクトップコンピューター(190,000円)、モニター(110,000円)、コンピューター用ソフトウェアー(150,000円)などを予定している。国内の研究打合わせ・京都大学2 日間× 3回(100,000円)、海外での学会発表・米ハーバード大7 日間(400,000円)と研究者招聘・英オックスフォード大より(300,000円)などを予定している。
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Research Products
(32 results)
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[Book] High Energy Accelerator Research Organization, KEK. Annual report 2010, Vol. 1: Summary of activities. Research highlights2011
Author(s)
Akihiro Maki, (ed.), Kotaro Bessho, (ed.), Kaoru Iwano, (ed.), Masato Kawasaki, (ed.), Eiji Kikutani, (ed.), Kazunori Kohri, (ed) et al
Total Pages
72
Publisher
KEK Reports & Library
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[Book] High Energy Accelerator Research Organization, KEK. Annual report 2010, Vol. 2: Reports from laboratories. Education and training.2011
Author(s)
Akihiro Maki, (ed.), Kotaro Bessho, (ed.), Kaoru Iwano, (ed.), Masato Kawasaki, (ed.), Eiji Kikutani, (ed.), Kazunori Kohri, (ed.) et al.
Total Pages
124
Publisher
KEK Reports & Library
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[Book] High Energy Accelerator Research Organization, KEK. Annual report 2010, Vol. 3: Data and references.2011
Author(s)
Akihiro Maki, (ed.), Kotaro Bessho, (ed.), Kaoru Iwano, (ed.), Masato Kawasaki, (ed.), Eiji Kikutani, (ed.) et al.
Total Pages
84
Publisher
KEK Reports & Library
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