2012 Fiscal Year Research-status Report
高ルミノシティLHCに向けた整形電場付ドリフトチューブの開発研究
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23540355
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岩崎 博行 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (40151724)
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Keywords | 粒子測定技術 / ミューオン検出器 |
Research Abstract |
衝突型加速器実験装置のミューオンスペクトロメーターは大面積を覆う必要があるため位置精度をだしつつも安価な測定器が望ましい。高エネルギーのミューオンからはガンマ線放射が起こることがあり、ミューオン飛跡の近傍に電子・陽電子が付随する事象を無視することができなくなる。そのため多数の荷電粒子が入射する場合にも、その各々のヒット位置を全て検出できることが要求される。簡単な電場整形電極を円筒内に設置することにより、イオン化されて出来た電子が飛跡と垂直方向にのみドリフトするような安価な検出器を開発することが本研究の目的である。 簡単な電場整形電極をもつ円筒の開発では、平成23年度にアルミ押出し成型でアルミチューブを製作した。平成24年度では、この円筒内部に取り付ける内部電極の設計を進めた。取り付けを簡便な方法で実現するために、押出し成形よる絶縁体成形を考えているが、材料からの不純物放出は極力下げる必要があり、その選定を進めた。絶縁体を押出し成形で製作する際に、試作では大量には必要になる訳ではないが押出し金型をまず作らねばならない。このため金型を安価に作れる業者の選定を進めた。 また同時に、内部電極に容易に電圧をかけることができるようなアルミ円筒の両端に取り付けるプラグの設計を行った。このプラグは中心に張るタングステン線の位置を決める役割を担っているため、設計にはそのことを考慮した。円筒両端に取り付けるプラグも量産時には金型から製作する方が安価になるが、試作時の少量生産では機械加工での製作を進めることとし、業者の選定を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドリフトチューブ本体はアルミ押出成形で既に製作した。この内部に絶縁体と電極用の金属薄板を取りつけるが、その設計がほぼ完了している。チューブの両端に取り付けるプラグの概念設計が出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
ドリフトチューブ本体は平成23年度に試作したものを用い、平成24年度に概念設計が完了したドリフトチューブ内に設置する絶縁体と電極用の金属薄板の製作を行う。また同時にチューブの両端に取り付けるプラグを製作し、これらを組みあげる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では、ドリフトチューブ内の電極・絶縁体を製作する。絶縁体部は押出し成形のプラスチックで電極板を容易に挿入できるような構造とする。これらに32万円を計上した。チューブの両端に取り付けるプラグは機械加工とし、これに59万円を計上した。外国での情報収集と発表・報告で28万円を計上している。
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