2013 Fiscal Year Annual Research Report
高ルミノシティLHCに向けた整形電場付ドリフトチューブの開発研究
Project/Area Number |
23540355
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岩崎 博行 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (40151724)
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Keywords | 粒子測定技術 / ミューオン検出器 |
Research Abstract |
衝突型加速器実験装置のミューオンスペクトロメーターは大面積を覆う必要があるため位置精度をだしつつも安価な測定器が望ましい。高エネルギーのミューオンからはガンマ線放射が起こることがあり、ミューオン飛跡の近傍に電子・陽電子が付随する事象を無視することができなくなる。そのため多数の荷電粒子が入射する場合にも、その各々のヒット位置を全て検出できることが要求される。簡単な電場整形電極を円筒内に設置することにより、イオン化されて出来た電子が飛跡と垂直方向にのみドリフトするような安価な検出器を開発することが本研究の目的である。 簡単な電場整形電極をもつ円筒の開発では、平成23年度にアルミ押出し成型でアルミチューブを製作した。平成24年度では、この円筒内部に取り付ける内部電極の設計を進め、また、アルミ円筒の両端に取り付けるプラグの設計を行った。平成25年度はこうした設計をもとに、各部品の選択とそれらの加工図面および全体の組立て図面を仕上げ、チューブチェンバーの試作機を製作した。円筒内部に取り付ける内部電極は当初押出し成形よる絶縁体成形を考えていたが、試作機は少数であることから、コストパフォーマンスを考慮し機械加工とすることとした。円筒両端に取り付けるプラグも機械加工で製作した。内部電極の薄銅板からは、センスワイヤーのフードスルーと同様に、但し内径の大きい、フィードスルーを通して外部のコネターへと接続する方法を採用した。 製作した試作機では、Ar・CO2混合ガス雰囲気中で、HV = 3.5 kV を10分間印加し、この間電流が 2 nA 以下であることを確認した。今後はビームを用いての性能試験を行うことを計画している。
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