2013 Fiscal Year Annual Research Report
2次元量子系におけるトポロジカルな秩序と新奇な輸送現象
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23540362
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 正明 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (50339107)
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Keywords | 分数量子ホール効果 / 量子スピン系 / 行列積状態 / 厳密基底状態 |
Research Abstract |
分数量子Hall効果を理解するための新しいアプローチの1つとして、1次元定式化による研究が進んでいる。これは、2次元電子系をLandauゲージとトーラスの境界条件を用いて第2量子化することで、1次元の格子模型の問題に焼きなおすものである。我々はこの手法を用いて一般のLaughlin状態ν=1/q (qは奇数) を記述する厳密な基底状態をもつ模型を見出した。さらに、この基底状態波動関数が行列積法によって書けることを示し、種々の物理量を解析的に求めることを可能にした。特にエンタングルメント・スペクトルの計算により、エッジ状態がカイラル朝永・Luttinger液体として振る舞うことを示した。また、励起スペクトルが超流動のロトン励起と同じ構造を示すことを行列積法による変分計算によって解析的に導いた。 1次元量子スピン系において、厳密基底状態を持つ模型は未知の相の性質を知るために重要な役割を果たしてきた。Haldaneギャプ状態はAffleck-Kenndy-Lieb-Tasaki (AKLT)模型によりその性質が明らかにされ、一般のスピンSの大きさにも拡張されたのに対し、ダイマー状態を厳密基底状態として持つ模型はMajumder-Ghorsh(MG) 模型として、S=1/2の場合のみに限定されてきた。我々はこのMG模型の一般のSへの拡張を行い、3スピンの交換相互作用を持つ模型において、ダイマー状態が厳密な基底状態となることを示した。また、この模型のパラメータが厳密に解ける場合以外についても場の理論と数値計算を行って、その相図を明らかにした。
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Research Products
(9 results)