2012 Fiscal Year Research-status Report
アルミニウム水素化物の圧力誘起金属化に関する分光研究
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23540365
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
久米 徹二 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30293541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 重雄 岐阜大学, 工学部, 教授 (30196159)
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Keywords | 金属水素化物 / 高圧極限 / 分光測定 / 金属化転移 / 構造相転移 |
Research Abstract |
軽元素水素化物を高密度にすると、水素1s 軌道の重なりにより、1s金属状態を形成する可能性がある。1s金属は高密度水素で予測されており、常温で超伝導を示すなど特異な物性が期待されている。アルミニウム水素化物であるAlH3は、圧力下において金属化することが知られており、1s金属状態になっていることが示唆されている。本研究では、1s 金属の実現とその物性を明らかにするため、アルミニウム水素化物であるAlH3 を100 万気圧以上の高圧力極限状態まで加圧し、「結晶構造変化」、「絶縁体―金属相転移」に関する新しい知見を得ること目的とする。 本課題を遂行するにあたり、H24年度には、ダイヤモンドアンビルセルに封入されたAlH3の試料に対して約100 GPaまでの加圧を行うことに成功した。超高圧力下における可視透過率測定を行い、加圧に伴う試料のバンドギャップ変化の観測を試みた。その結果、加圧に伴う試料の黒色化が顕微鏡による目視により観測された。可視領域における顕微透過率測定の結果、50 GPaを超える圧力下では、近赤外から可視光領域に吸収スペクトルの立ち上がりが観測された。この立ち上がりは加圧と共に吸収端の低エネルギー側へのシフトし、バンドギャップの加圧による現象が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度に予定した研究実施内容は高圧力下でのラマンおよび光吸収測定である。実際に100 GPa付近までの高圧力下での吸収測定を行うことができ、試料の黒色化に伴う吸収スペクトルの変遷を観測する事ができた。以上から当初の計画通りに順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
・ラマン散乱測定および赤外吸収測定 150 GPaまでのラマン散乱測定および赤外吸収測定を行い、AlH3の振動モード(特にHに関わる)を明らかにすることにより、加圧による構造の変化(構造相転移)を明らかにする。これまでに行われている、X線構造解析の結果を参考にし、高圧力下での水素の振る 舞いを明らかにする。 ・超高圧力下における光吸収測定および反射率測定 紫外可視透過率測定を100 GPa程度まで再度行い、吸収スペクトルの立ち上がりを観測することにより、AlH3バンドギャップエネルギーの変遷を確定する。100 GPa以上で金属化し、透過率が著しく減少した場合、反射率測定を赤外・可視領域で行い、自由電子によるプラズマ反射の観測を行い、自由電子密度を見積もる。これらの実験により、AlH3 の金属化に至るまでのバンドギャップの減少を圧力の関数(原子間距離の関数)として明らかにするとともに、金属化したAlH3 の電荷密度から、自由電子の由来を考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費に計上されている費用の大部分は、測定に必要不可欠なダイヤモンドアンビルの購入にあてる。また、旅費に計上される費用に関しては、最新の研究成果発表のために充てられる。
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Research Products
(1 results)