2013 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット・ナノ物質系における強相関電子による量子輸送の理論的研究
Project/Area Number |
23540375
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小栗 章 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10204166)
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Keywords | 近藤効果 / 強相関電子系 / 量子ドット / 非平衡電流 / ショットノイズ / 超伝導 / 物性理論 / Green関数 |
Research Abstract |
最終年である2013年度も、主題である量子ドットやナノ物質系における近藤効果を中心とした電子相関の効果に関する研究を精力的に進め、以下箇条書きで示す通り、大きなな進展があった。 (1) N重に縮退した軌道を持つ量子不純物系に対する解析的なアプローチとして、我々は1/(N-1)展開法の定式化を行い、これまでのFermi準位近くの低エネルギー領域における有効性を示してきたが、2013年度にはGreen関数の振動数ω依存性の計算を1/(N-1)の次最強発散項までの計算を実行し、高エネルギー側のサブピークの構造の電子間斥力、および軌道数による依存性の詳細を明らかにし国内外の学会で発表した。 (2) 相互作用のある不純物Anderson模型の高バイアス極限、および高温極限におけるGreen関数の厳密解を導いた。我々は、これらの極限ではKeldysh形式と等価である熱的場の理論が、非平衡状態に関する見通しの良い描像を与え、Green関数を含めた3種類の相関関数の運動方程式が高エネルギーの極限で閉じることを示した。以前の結果[A.Oguri, Phys.Rev.B 64, 153305 (2001)]と合わせて、低バイアス、および高バイアスの両極限の振る舞いが我々の結果から明らかなった。 (3) 超伝導リードに接続された量子ドット系に関しては、内外で盛んに実験も発展をみせている。我々は、3角形3重量子ドッド系に2つの超伝導リードを1つ常伝導リードが接続された場合の基底状態のゲート電圧依存性を数値くりこみ群を用いて調べた。その結果から、3角形構造特有の軌道縮退、磁性、超伝導近接効果の競合により量子相転移がおこり、転移点近くの振る舞いが常伝導リードとの接続の大きさにより敏感に依存することが示された。この内容の詳細に関しては、日本物理学年会において報告を行った。
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Research Products
(13 results)