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2011 Fiscal Year Research-status Report

乱れたトポロジカル絶縁体相にともなう量子輸送現象の研究

Research Project

Project/Area Number 23540376
Research InstitutionSophia University

Principal Investigator

大槻 東巳  上智大学, 理工学部, 教授 (50201976)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2016-03-31
Keywords国際研究者交流 / 量子ホール効果 / 量子スピンホール効果 / トポロジカル絶縁体 / アンダーソン転移 / 臨界指数
Research Abstract

本年度はトポロジカル絶縁相と金属相,トポロジカル絶縁相と通常の絶縁相,トポロジカル絶縁相とトポロジカル絶縁相の間の相転移を議論する際に重要となる臨界指数やコンダクタンスの分布関数を研究した。以下,それぞれの成果について述べる。1. 量子スピンホール効果:金属相と量子スピンホール相(トポロジカル絶縁相)の間の相転移における臨界指数を決定した。従来用いられている局在長の有限サイズスケーリングは端状態の存在のため有効ではない。その問題を回避するため,本研究では2番目のリヤプノフ指数を有限サイズスケーリングで解析した。その結果,この転移がシンプレクティッククラスのアンダーソン転移であることを実証した。2. 量子ホール効果:量子ホール転移における臨界指数をChalker-Coddingtonモデルを用いて解析した。得られた結果をLutken-Rossらの予言と照らし合わせ,この予言を検討した。その結果,臨界指数は非常によく一致するが,irrelevantな指数については誤差の範囲でおおざっぱに一致しているとしか言えなかった。3. 高次のランダウバンドにおける量子ホール転移点での臨界コンダクタンス分布: 拡張Chalker-Coddingtonモデル,およびタイトバインディングモデルで臨界点でのコンダクタンス分布を求めた。その結果,最低ランダウバンドから3番目のランダウバンドまで徐々にコンダクタンス分布関数が形を変え,それ以上ではほぼガウス関数で記述されることを示した。 以上の研究は連携研究者である河原林透博士(東邦大学・教授),Keith Slevin博士(大阪大学・准教授)と,小林浩二博士(上智大学)とで行った。Slevin教授はPOSTECH(韓国)に滞在し,2番目のテーマの基本となるアイディアを生んだ。代表者である大槻は北京で行われた国際会議で成果を発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

量子スピンホール効果の臨界指数の計算は計画通り,2次のリヤプノフ指数を用いることで計画通り行えた。また,量子ホール効果の臨界指数の計算は,Lutken-Rossの予言を新たに知ったことで,新たな観点から進展が見られ,期待以上の成果を上げられた。 一方,ポイントコンタクトコンダクタンスの研究は予定通りには進まなかった。

Strategy for Future Research Activity

前年度積み残したポイントコンタクトコンダクタンスの計算を,準1次元と2次元,双方で計算を行い,2つの量が共形不変性によって関連づけられるかを詳細に議論する。 ネットワークモデルを層状に重ねた3次元系を議論する。量子ホール系を3次元的に重ねていくと,エッジ状態が表面を流れるカイラル金属が実現される。このカイラル金属は表面の周囲とそれに垂直な方向の局在長の比が一定である,いわゆる臨界的な状態であることがわかっている。このモデルを拡張して時計回りに流れている電流をアップスピンによるものと見なし,その反対方向にダウンスピン電流が流れているモデルを構築する。こうした系の相図を求め,表面におけるポイントコンタクトコンダクタンスを計算し,この系を流れる表面電流,表面スピン電流の微視的な性質を詳細に検討する。また,表面にディラック・コーンが存在する状況をネットワークモデルの拡張により記述し,表面状態がランダムネス依存性を数値的に明らかにする。なお,ネットワークモデルの記述が困難だと判断した場合,トポロジカル絶縁体相を示すハミルトニアンに対してランダムネスを導入し転送行列などによる解析を行う。 またこうして量子ネットワークモデルから得られた結果の普遍性を確認するため,他のモデルにおける計算も行う。最近話題となっているトポロジカルアンダーソン絶縁体転移の臨界指数,コンダクタンスの分布関数を計算し,ネットワークモデルの結果がどこまで普遍かを明らかにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

初年度でワークステーションを購入したので,本年度は計算機の購入は行わない。本年度は研究成果の発表と研究打ち合わせのための国内旅費,外国旅費,成果発表のためのPC周辺機器に使用する。

  • Research Products

    (6 results)

All 2012 2011 Other

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Finite Size Scaling of the Chalker-Coddington Model2012

    • Author(s)
      K. Slevin, T. Ohtsuki
    • Journal Title

      Proceedings of Localization 2011 (A Satellite Conference of LT 26)

      Volume: in press Pages: 1-10

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Critical exponent for the quantum spin Hall transition in Z_2 network model2012

    • Author(s)
      K. Kobayashi, T. Ohtsuki, K. Slevin
    • Journal Title

      Proceedings of Localization 2011 (A Satellite Conference of LT 26)

      Volume: in press Pages: 1-5

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Critical exponent for the quantum Hall plateau transition2011

    • Author(s)
      K. Slevin, T. Ohtsuki
    • Journal Title

      RIMS Kokyuroku Bessatsu

      Volume: B27 Pages: 141-147

  • [Presentation] Finite Size Scaling of the Chalker-Coddington Model2011

    • Author(s)
      K. Slevin, T. Ohtsuki
    • Organizer
      Presented at Localisation 2011(招待講演)
    • Place of Presentation
      POSTECH, Korea
    • Year and Date
      2011 – 86
  • [Presentation] Critical exponent for the quantum spin Hall transition in Z_2 network model2011

    • Author(s)
      K. Kobayashi, T. Ohtsuki, K. Slevin
    • Organizer
      Presented at Localisation 2011, POSTECH, Korea
    • Place of Presentation
      POSTECH, Korea
    • Year and Date
      2011 – 86
  • [Remarks]

    • URL

      http://www.ph.sophia.ac.jp/~tomi/

URL: 

Published: 2013-07-10  

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