2014 Fiscal Year Annual Research Report
乱れたトポロジカル絶縁体相にともなう量子輸送現象の研究
Project/Area Number |
23540376
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
大槻 東巳 上智大学, 理工学部, 教授 (50201976)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | トポロジカル絶縁体 / 半金属金属転移 / アンダーソン転移 / スケーリング理論 / 薄膜 / 表面ランダムネス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,2次元量子ホール転移,量子スピンホール転移を理論的に研究する。量子ホール効果の発見から30年がたとうとしているが,その間,分数量子ホール効果,グラフェンにおけるディラック粒子の量子ホール効果,量子スピンホール効果など,次々と新奇な現象が見つかっている。こうした転移はトポロジカル絶縁相により影響を受けていることも近年明らかになっている。一方,量子ホール転移の定量的な理解は,未だに十分ではない。本研究では金属相からトポロジカル絶縁相への転移を詳細に解析し,その臨界指数・動的臨界指数を決定する。また,ポイントコンタクトコンダクタンス,スピンホールコンダクタンスなどの量子輸送特性計算し,トポロジカル絶縁体相への転移が生じる際の新奇な輸送現象を予言する。 この研究目的に基づき,2次元の量子ホール系,スピンホール系の臨界指数を高精度に決定した。3次元のトポロジカル絶縁体の相図をコンダクタンスの振る舞いから決定した。また研究2年目に,カーネルポリノミアル法による状態密度の計算手法を確立し,これによりコンダクタンスから求めて相図をより詳しく解析した。その結果,相境界上ではある程度の不純物がある系ではDirac半金属状態が安定で有り,不純物の強さが臨界的な振る舞いを越えると半金属・金属転移が起こることを示した。この転移の振る舞いを状態密度スケーリングという新しい概念で記述した。 こうした研究を発展させ表面だけに不純物があるsurface disorder系の計算を行い,表面を乱すことで,コンダクタンスがかえって増える現象を予言した。また,こうした計算手法をトポロジカル絶縁体の薄膜にも応用した。
|
Research Products
(6 results)