2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロキャビティ構造を用いたコヒーレントフォノンに関する研究
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23540377
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
島田 良子 日本女子大学, 理学部, 准教授 (90346049)
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Keywords | コヒーレントフォノン / マイクロキャビティ / キャビティポラリトン |
Research Abstract |
本研究では、キャビティ層に酸化亜鉛(ZnO) を用いて、窒化ガリウム(GaN)と窒化アルミニウム(AlN)による反射鏡(Distributed Bragg Reflector:DBR)をもつハイブリッドマイクロキャビティ構造を作製し、それらのキャビティ構造を用いて指向性・単色性に優れたコヒーレント音響フォノンの生成と、これらコヒーレント音響フォノンとキャビティポラリトンとの相互作用について、実験的に明らかにすることを目的としている。これは、半導体発振器の出力とその周波数の関係におけるテラヘラツギャップと呼ばれる2THz付近に向かって電波側、光側の両方から出力低下領域を克服するひとつの手段として注目されている。 平成24年度は、前年度に引き続き、より良質のZnO/GaNハイブリッドマイクロキャビティ構造の作製を目指し、Virginia Commonwealth University(Prof. Morkoc研究室、米国)で`結晶成長を実施した。また、GaN系マイクロキャビティ構造も作製し、その特性評価を実施した。この構造は、キャビティ層にInGaN/GaN量子井戸構造を有している。また、上下のDBR構造を誘電体多層膜とする新しいマイクロキャビティ構造の作製方法を提案し、実際に作製を行い、その光学特性評価を行った。これらの試料に対して、基本的光学特性の評価はほぼ終了し、今後は最終的な目標であるコヒーレントフォノンの生成実験を実施したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行するための試料作製に時間を要しているが、良質の試料を得ることが最終的な成果を得る近道でもあるので、十分な時間をかけて実験を行っている。 これまでのところ、新たに導入した試料作製方法によって、クラックフリーのマイクロキャビティ構造の作製に成功している。これらの試料は、強結合状態を示す光学特性を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに作製した試料の基本的光学測定を実施し、作製した試料が目的の用途に合致するかを確認する。その後、超短パルスレーザによる強励起の光学測定を、Univ. North TexasのProf. Neogi研究室で、コヒーレント音響フォノンの生成実験を行う予定である。必要に応じて、新たな試料をVirginia Commonwealth UniversityのProf. Morkoc研究室で実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
光学測定に必要な光学部品等、低温測定のための液体ヘリウムおよび液体窒素、試料前処理に必要な試薬などの消耗品と、実験に必要な試料作製のために渡米する旅費(Virginia Commonwealth University, VA, US)と、光学測定のために渡米する旅費(Univ. of North Texas, TX, US)に充当する予定である。また、得られた成果を国際あるいは国内会議で発表するための旅費とする予定である。
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