2013 Fiscal Year Research-status Report
電子系とのアナロジーによるトポロジカルな光輸送現象の開拓
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23540380
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
落合 哲行 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, 主任研究員 (80399386)
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Keywords | トポロジー / 2重縮退 / 対称性の破れ / フォトニック結晶 / ドメイン壁 |
Research Abstract |
電子系におけるトポロジカルな電子輸送現象を光の系に転写することを目標としている。今年度は Quadratic な有効ハミルトニアンをもつ格子模型について前年度までの成果を発展させた。具体的にはガンマ点で2重縮退を許す格子模型(ある種の2次元フォトニック結晶における光や、周期ポテンシャル中の2次元電子など)について、時間反転対称性や、空間反転対称性を破る摂動を加えた場合の有効ハミルトニアンを格子の空間群の表現論から、そのとりうる形を決定した。またこの摂動によりギャップが開き、その結果、非自明なチャーン数をもちうることを示した。さらに、この系にドメイン壁構造を導入し、そこで生じる2つのドメイン壁局在モードの性質を解析的に明らかにした。これらのモードは漸近的にバンド端と一致するような分散曲線をもち、擬スピンが反転している。以上は有効ハミルトニンから得られる性質だが、2次元フォトニック結晶における光の第一原理計算からも同様の結果が得られることを確かめた。この成果は論文一報にまとめた。また光版グラフェンのもつ様々な性質についてReview し、論文にまとめた。またこれまで本研究課題で扱っていた構造は構造の厚みが波長よりもずっと大きい、いわゆる2次元フォトニック結晶であったが、薄膜型フォトニック結晶についても2重縮退が対称性の破れによって分裂する際に、非自明なトポロジーが発現する場合がある。この場合についても理論的に解析し、preliminary な結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガンマ点での2重縮退がリフトする場合のドメイン壁局在モードなど、予想外の結果が得られた一方、予定していた薄膜フォトニック結晶の解析があまり進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は薄膜フォトニック結晶の解析に集中し、周波数的に孤立した2重縮退点の探索や、非自明な導波路チャンネルの可能性について考察する。またこれまでの成果について学会などで発表し、研究討論をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ライフイベントにより研究時間が減少し、予定していた薄膜フォトニック結晶の解析が進まなかった。また国際会議での発表も取り消し、旅費に未使用額が生じた。 薄膜フォトニック結晶でのトポロジカルな光輸送について集中して研究する。また成果報告と研究討論のため学会等で発表する。
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Research Products
(3 results)