2013 Fiscal Year Annual Research Report
複合スピン系における新しい量子相転移-多極子の視点から-
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23540390
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松本 正茂 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20281058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 幹人 静岡大学, 教育学部, 教授 (40324321)
楠瀬 博明 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (00292201)
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Keywords | マルチフェロイクス / 四極子 / スピンネマティック / 量子相転移 / 振幅モード |
Research Abstract |
Ba2CoGe2O7は強い容易面型の異方性を有するS=3/2の系である。低温で磁気秩序とマルチフェロイクス性を示すため、注目されている物質である。磁性をもつCoイオンはOイオンによる四面体の中心に位置し、Oイオンとの混成によって電気分極を誘起する。点群で考察すると、D2dの環境ではスピンの2階のテンソル(四極子演算子)が電気分極と等価になる(見分けがつかない)ため、電気分極が四極子で表現される。単結晶を用いた最新の実験結果では、容易面内に非常に弱い異方性の存在が発見された。実験結果を解析すると、四極子間相互作用が原因であると理解できることがわかった。また、非弾性中性子散乱の結果も定量的に再現できることがわかった。このように、量子スピン系物質において、スピンによる四極子(ネマティック)相互作用が存在することを確認した。この成果は、実験グループとの共同研究として発表された。 上記のような物質で、スピンが整数の場合には状況が異なる。具体的には、圧力で制御された量子臨界点が存在し、量子相転移によってマルチフェロイクス性が誘起される。また、量子臨界点近傍の秩序相では、秩序化した磁気モーメントの伸び縮みに対応した振幅モードが観測可能である。この励起は秩序の大きさの揺らぎに対応し、ヒッグスモードと呼ばれている。このヒッグスモードは非弾性中性子散乱によって観測できるが、光の電場成分によるエレクトロマグノン励起としても観測可能であることがわかり、理論の論文として発表した。また、より一般的に、対称的なスピン依存性が起源の電気分極の場合、振幅モード(ヒッグスモード)はエレクトロマグノン励起として出現可能であることがわかった。
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Research Products
(11 results)