2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540391
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
繁岡 透 山口大学, 理工学研究科, 教授 (50167441)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 1-2-2型化合物 / 希土類化合物 / 成分分離逐次磁気転移 / 部分成分秩序相 / 弾性定数 / B-T磁気相図 / 四極子秩序相 / メタ磁性磁化過程 |
Research Abstract |
HoRh2Si2単結晶を育成し,その基礎的な物性を明らかにするため以下の測定を行った。1)磁化の温度依存を測定し,3つの磁気転移点(TN1=29 K, Tt=27 K, TN2=12 K)の存在および成分分離逐次磁気転移の出現を確認した。また,各磁場下での測定を行い,各転移温度の磁場変化を調べた。この結果と2)の結果とを総合して,B-T磁気相図を作った。2)磁化の磁場依存:磁化過程を様々な温度で調べた。この結果,TN2>Tの低温では,三軸方向ともに,階段状の明確なメタ磁性転移が現れる。この振る舞いは大変珍しいものであり,Hoモーメントが対称性のいい軸から傾いていることを示唆している。<T<では,c軸磁化過程にのみ明確なメタ磁性転移が残り,c面内方向では,常磁性的な磁化過程になった。このことは,部分成分秩序相の出現を支持している。3)弾性定数測定の温度依存測定を行った(新潟大学後藤研究室との共同研究)。各転移温度で弾性異常を観測した。特に,弾性定数C44に巨大なソフト化と激しい超音波吸収をTN2付近で観測した。C44の解析結果から,強的四極子秩序の可能性が示唆された。4)X線粉末回折実験を各温度で行った。その結果,強的四極子秩序の可能性に反して,結晶構造は変化していないことが明らかになった。したがって,強大ソフト化の起因は大きななぞである。これらの測定結果から,成分分離逐次相転移と部分成分磁気秩序相を有するHoRh2Si2の異常な物性が明らかになりつつある。当初の計画通り,さらなる研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災の影響で,JRR3原子炉が被害を受け,予定していた中性子回折実験が行えなかった。また,装置の都合により,磁場中比熱測定等も行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
中性子回折実験については,日米協力中性子散乱事業および物性研共同利用実験に採択されているので,オークリッジ国立研究所および東大物性研究所で行う予定である。また,予定している他の実験も逐次実施していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
震災の影響で予定していた新潟大学との共同研究が遅れ気味である。そのための費用が少し残った,今年度(24年度)に持ち越して使用する。
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Research Products
(17 results)