2013 Fiscal Year Annual Research Report
スピンクラスター系の磁気秩序の発現機構の解明に関する研究
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23540396
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長谷 正司 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (40281654)
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Keywords | スピンクラスター / 磁気秩序 / 中性子回折 / 中性子非弾性散乱 |
Research Abstract |
研究目的は、固体物理学の重要な分野の1つの量子スピン系において、有限個のスピンからなるスピンクラスターが結合した0次元スピン系(スピンクラスター系)の磁気秩序の発現機構の解明に取り組むことである。量子スピン系の多様な興味深い磁性の最大の要因は次元性である。現在までに3から1次元スピン系の磁気秩序の研究は進んでいるので、本研究の後では、全ての次元のスピン系の磁気秩序の描像が明確になることが期待される。本研究の対象物質はCrVMoO7(スピン数2、スピン3/2)、Cu2CdB2O6(スピン数4、スピン1/2)、SrMn3P4O14(スピン数3、スピン5/2)である。 平成25年度は以下の研究を行った。①SrMn3P4O14の磁場中での中性子回折測定の結果の解析を行った。磁化プラトー磁場中での基底状態で期待されるスピンの値を用いて計算した磁気反射の積分強度は実験結果と一致することを確認した。固有状態を直接観測できたことを意味する。量子スピン系では、このような研究はほとんど無い。②偶数個のスピンから成るクラスターの磁気秩序は、以下の2つの機構で発現可能となる。(1)テトラマー間相互作用のために、非磁性基底状態に磁性状態が混じる。また、テトラマー間相互作用は磁気秩序を安定化させる効果もある。(2)ベースのテトラマーでは、非磁性基底状態と第一励起状態の間のエネルギーギャップがテトラマー間相互作用と同程度である。Cu2CdB2O6の磁気励起を研究した。エネルギーギャップの存在を観測した。また、磁気励起はスピンテトラマー模型で説明できた。
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Research Products
(3 results)