2011 Fiscal Year Research-status Report
CeCoIn5におけるFFLO超伝導と特異な磁気秩序に関する研究
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23540398
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
熊谷 健一 北海道大学, -, 名誉教授 (70029560)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / 超伝導 / 核磁気共鳴 / 磁気秩序 / CeCoIn5 |
Research Abstract |
重い電子系超伝導体CeCoIn5 (Tc=2.3K)は、超伝導転移が1次相転移であり、さらには、この常伝導-超伝導転移に加え強磁場・極低温領域で新たな超伝導相が出現する。この新奇超伝導相はPauli limitを超える強磁場中において現れるFFLO状態であることが期待されている。また、多くの実験結果はCeCoIn5が量子臨界点近傍に位置することを示しており、特異な磁気的性質が現れる。我々はCeCoIn5の低温・強磁場領域での新たな超伝導相においてab面内およびc軸に磁場を加えてInサイトでのNMRスペクトルの磁場および温度依存性を詳細に測定した。これまで明らかにしたことは、1. Pauli limitを超える強磁場で下での超伝導状態での局所スピン帯磁率温度依存・磁場依存性を明らかにした。特に、a)一次相転移での局所スピン帯磁率の不連続変化をナイトシフトの変化として観測したのは最初の例であり、b) 新奇超伝導状態でのスピン帯磁率の抑制の磁場依存性の解析より、ノード構造を伴うFFLO相であると結論した。2. H//a-axisの磁場印加でIn(2)サイトにおいて内部磁場を受けた特徴あるNMRスペクトルが観測され、非整合磁気秩序の出現が明らかになり、その磁気秩序は系全体に一様に出現すること。 3.さらには、ab面内から印可磁場の角度を変化させると、磁気構造が変化し、20°付近で磁気秩序とFFLO相が消失することを明らかにした。 新奇超伝導相内でのみで出現する特異な磁気状態とFFLO相の共存の詳細を明らかにしたことは今後の研究に重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)NMR測定分光系および極低温生成の基本的な測定系は、これまでの研究費で準備されており、この状況を出発点として、今回は自動測定系の整備が順調に整備できたたことと、角度依存性の測定が準備でき、新たなNMR知見を得ることが出来た。これにより測定結果の解析が進み、FFLO相と磁気秩序の共存に関する理解を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
1.単結晶試料のab面と印可磁場との角度依存性の測定を継続して行い、磁気秩序の消失とFFLO相と関連を明らかにして、H-T-θ(角度)の相図の詳細を得る。2.角度に依存して変化する磁気秩序の構造を明らかにし、その変化の起源を明らかにする。磁束状態の変化との関連を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な使用項目は1.強磁場・極低温でのNMR測定に用いる寒剤費(液体ヘリウム)2.NMR測定器用回路部品、およびクライオスタット部品費3.成果発表および内外の研究者との研究討議のための国際会議、国内研究会への参加費並びに交通費。参加予定の国際会議としては、磁性と超伝導に関する国際会議(ICSM2012)、トルコ(4月)、国際磁性に関する国際会議(ICM2012) 韓国(7月)、高温超伝導物質および発現機構に関する国際会議、米国(8月)等である・平成23年度未使用額は寒剤代(液体ヘリウム)を節約出来たことと、海外出張での航空券の値引きにより旅費を節約出来たことによる。平成24年度においては、これを寒剤費に充当すると共に、8月の米国での国際会議への参加旅費として使用予定である。
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Research Products
(4 results)