2013 Fiscal Year Annual Research Report
CeCoIn5におけるFFLO超伝導と特異な磁気秩序に関する研究
Project/Area Number |
23540398
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
熊谷 健一 北海道大学, -, 名誉教授 (70029560)
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Keywords | 強相関電子系 / 超伝導 / 核磁気共鳴 / 磁気秩序 / CeCoIn5 |
Research Abstract |
重い電子系超伝導体CeCoIn5では、強磁場・極低温領域で新奇な超伝導相が出現し、この新奇超伝導相はPauli limitを超える強磁場中において現れるFFLO状態であることが期待された。また、CeCoIn5は量子臨界点近傍に位置しており、超伝導相内でのみ特異な磁気的性質が現れ、FFLO超伝導と新たな共存状態が出現する。我々はCeCoIn5の低温・強磁場領域での新たな超伝導相においてab面内およびc軸に磁場を加えてNMRスペクトルの磁場および温度依存性を詳細を明らかにすべく、高感度NMR測定分光装置および極低温生成装置加え、NMRの角度依存性の測定系を整備し、磁気秩序と超伝導に関する磁場依存性と角度依存性の詳細な研究を進めてきた。 本研究で明らかにしたことは、① Pauli limitを超える強磁場下での局所スピン帯磁率の微視的な知見から、新奇超伝導相は特徴的ノード構造をもつFFLO状態であると結論した。② H//a-軸の磁場印加でIn(2)サイトにおいて内部磁場を受けた特徴あるNMRスペクトルを得て、試料空間で一様にCe磁気モーメントの出現する非整合磁気秩序を明らかにした。③NMRのab面内からの印可磁場の角度依存性の知見を詳細に得た。a)θ=0°では一様な磁気秩序が出現するが、θ=7~10°ではFFLO相のノード領域でのみで磁気秩序は現れ、超伝導ギャップΔ≠0の領域では消失する空間的に不均一な磁気構造となることを明らかに出来た。また、b)θ=7~10°でのより高磁場領域では磁気気秩序が消失してpureなFFLO状態が現れることを示した。 これらの新たな実験的知見を踏まえて、強いPauli効果のもとでの新奇超伝導相(FFLO相)とその限定された領域で現れる特異な磁気秩序の共存に関する理解を格段に進めることが出来た。
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Research Products
(1 results)