2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機導体におけるディラック粒子の起源とベリー位相の理論的研究
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23540403
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴村 順三 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (90108449)
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Keywords | 有機導体 / ディラック粒子 / ベリー位相 / ゼロギャップ / ノード |
Research Abstract |
有機導体でディラック点が存在することによる下記の性質を研究した。 (1)トポロジカルな性質として、ディラック点から放射状に出てくるカイラルべクトルを具体的に示した。(2)単位胞に4サイトをもつα型有機導体のディラック電子は、波動関数のBサイトとCサイトの成分がそれぞれブリュアンゾーン上で線状(ノード )に消失し、2つのディラック点を結んでいることを見つけた。これが時間反転対称点(TRIM)を通過する性質を用いて、それぞれのサイトの磁化率の温度依存性の相違点を説明した。(3)この有機導体の静水圧下で生じる絶縁体からゼロギャップ状態への相転移において、ディラック電子の役割を調べた。一軸圧の場合と異なり、静水圧によりC分子に働くアニオンポテンシャルがディラック電子の安定化に重要であることを示し、さらにこの絶縁体は、2つのディラック点がM点で合体して生じので、AとA'の分子の間の空間反転対称が保存されてた小さいギャップを持つ状態であることを指摘した。(4)ディラック粒子の起源の研究として、ディラック電子の波動関数がブリュアンゾーン全体でどのような性質を持つかを調べた。AとA'の空間反転対称性を利用してハミルトニアンを実行列で表現すると、波動関数の4成分すべてが2つのディラック点を結ぶノードを持つ。このノードの上での波動関数の符号が変化することを用いて、ディラック点を一周するベリー曲率の線積分が有限になり期待されるベリー位相が得られ、ディラック粒子の特徴をもつトポロジカルな性質が理解できることを示した。(5)有機ディラック電子の顕著な特徴の一つであるコーンが傾斜している効果が電気伝導に及ぼす影響を調べた。傾斜が存在すると電気伝導度が電場の方向に依存し、電場が傾斜と垂直な場合に最大になることを見つけた。これにより電流が電場と垂直方向の成分を持つようになることを示した。
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