2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540405
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
佐野 和博 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40201537)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩次 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70281847)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 計算物理 / 電場誘起超伝導 / 第一原理計算 / ダイヤモンド表面 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年電気2重層の方法により絶縁体表面に強力な電場をかけ、表面に多くのキャリヤを誘起することができるようになった。そして、このキャリヤによりSrTiO3などの系では低温で超伝導現象を発現させることが可能となり注目を浴びている。そこで本研究では第一原理計算を用いて電場によりどのようにキャリヤが誘起されるのか、また結晶表面でどのような電子状態が実現しているのかを明らかにするため研究を進めてきた。特にダイヤモンドやシリコン結晶を対象に、実験的に可能と思われる範囲内の電場を結晶表面に印加した状況を第一原理計算によりシミュレーションした。 その結果電場により表面から10層程度の原子層内にキャリヤが誘起されることがわかった。またこのキャリヤ密度は原子層によって異なるが、多い層では約1パーセント程度の密度に達しうることがわかった。ダイヤモンドのバルク系では、すでにホウ素などの不純物を用いてキャリヤの注入が行われており、キャリヤ密度が1パーセント程度以上の所で超伝導が見出されている。このキャリヤ密度は、電場によって誘起されたキャリヤ密度と同程度なので、今後実験的にダイヤモンドの電場誘起超伝導が見出されることが期待される。 なお第一原理計算では扱える系が原子層として20層程度以内のものに限定され、現実の系よりかなりサイズが小さいので有限サイズ効果が懸念されたが、それを補うため各原子を大きさのない格子点として取扱い、その格子点上を電子が飛び移るというように単純化したモデルであるタイトバインディングモデルを使い、原子層として数百層に対応する系の電子状態も計算した。その結果、表面に注入されたキャリヤは基本的に20層程度の深さの所までにとどまることがわかり、第一原理計算の適用サイズの範囲内にあることが確認できた。
|