2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540414
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
楠瀬 博明 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (00292201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正茂 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20281058)
古賀 幹人 静岡大学, 教育学部, 教授 (40324321)
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Keywords | 奇周波数超伝導 / 常磁性マイスナー効果 / エルミート性 |
Research Abstract |
最終年度には、前年度の研究に引き続き自己エネルギーの効果、奇周波数状態での外場応答、自発的対称性の破れにおける非エルミート性の出現などについて研究を行い、奇周波数超伝導の本質が自発的なエルミート性破れであることを明らかにした。このことは一般的な平衡状態の性質と矛盾するように思えるが、同時刻のクーパー対振幅が存在しない奇周波数ペアだからこそ可能であるという結論を得た。 研究期間全体を通じて、奇周波数超伝導状態というクーパー対の遅延効果を利用した新しいタイプの超伝導の基礎的事項の確立に貢献した。まず、その基礎理論には内部矛盾がありバルク状態は安定して存在しないと考えられていたが、自由エネルギー汎関数の構造と自発的な対称性の破れによって安定化する機構を綿密に考察することで、内部矛盾のないバルクな状態が可能であることを明らかにした。さらに強結合相互作用を局所電子格子相互作用模型や磁気臨界揺らぎを取り入れた模型によって取り扱い、有効質量増大に効く自己エネルギーの効果が奇周波数状態を不安定化すること、磁気臨界揺らぎのような対数的引力では自己エネルギー効果を考慮しても奇周波数状態が安定に存在し得ることを明らかにした。さらに、外部磁場による偶周波数、奇周波数の混合状態とその性質を考察し、超伝導振幅の主要項が偶周波数成分か奇周波数成分かによってエルミート性の破れ方が異なることを明らかにした。このことは、奇周波数超伝導における対称性の自発的破れを理解する上で本質的であり、重要な成果である。また、不純物や境界の効果と奇周波数成分の出現状況の関係を自己無撞着な方程式を満たす形で求め、従来の半現象論的な理解と微視的な理解の間の繋がりを明らかにした。
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Research Products
(9 results)