2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540424
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
満田 節生 東京理科大学, 理学部, 准教授 (90183962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 多朗 東京理科大学, 理学部, 助教 (30579785)
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Keywords | スピンフラストレーション / マルチフェロイック / スピン・格子系 / 交差相関物性 |
Research Abstract |
本研究では、この系における三角格子をなすスピンが、自発電気分極の発生のみならず、[1] d-p軌道混成機構に起因する1軸応力に よる電気分極の制御、[2]各磁気相に固有な誘電分散、[3] 磁場掃印による 螺旋磁気伝搬波数の変化に起因すると思われる電気分極の 誘起、といった最近我々が見出しつつある特異な交差相関応答にどのように 本質的な役割を果たしているかを明らかにすることを目的として研究を開始した。 3年目は、 [1]については、二等辺三角格子のモデル物質であり申請者らがその磁気秩序形成を詳細に探査してきたCoNb2O6の三角格子面内に400MPaまで一軸応力を加えることにより、不整合磁気秩序・常磁性磁気相転移点における磁気伝搬波数の顕著な変化を見いだし、系の交換相互作用を一軸応力で制御できることを示した。 [3]については、2年目で得られた「自発分極を担っている螺旋磁気構造の伝搬波数qの磁場変化が、誘電(磁気)ドメインの電場に対する応答性に本質的な役割をしている」という知見を、より強固にするため、強磁場中中性子回折実験中における「その場の」分極測定を組み合わせて行うことができ、対象物質であるスピン誘導型強誘電体CuFeO2で知られている応力や回転磁場による三方晶Qドメイン間の体積分率の制御によるものではない、新しい機構による誘電(磁気)ドメインの駆動が実現しているモデルを提案することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
[2]については、2年目で得られた(誘電分散は複数の緩和時間を持つデバイ型であり、その緩和時間はいわゆる Arrhenius則に従う温度変化を示し、その障壁エネルギーは固有な磁場変化をするという)知見をより強固なものにするべく、28Tの定常強磁場施設を用いた測定を準備していたが、国内における液体ヘリウム供給の問題のため、測定が進まず遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
[1]については、二等辺三角格子のモデル物質CoNb2O6における探査を、「系の交換相互作用を一軸応力で制御する」という視点で継続する。これまで三角格子面内の頂点方向(a軸)に一軸応力を加えたが、実験室における三角格子面内の底辺方向(b軸)への一軸応力下での帯磁率測定では、期待されるa軸とは逆の変化が示唆されており、それを中性子回折で不整合磁気秩序・常磁性磁気相転移点における磁気伝搬波数の変化を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度であったH25年度の最後(H26年3月)に予定していたドイツ中性子散乱施設HZBでの出張実験が先方の都合で急遽延期になり事業期間をH26年度まで延長したため(承認済み) 新年度の別の実験課題の実験出張と合わせて、延期された実験出張課題を行う予定であり、残金は実験室における分極測定の寒剤(液体ヘリウム)の購入に用いたい。
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Research Products
(6 results)