2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540428
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
河野 昌仙 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (40370308)
|
Keywords | モット転移 / 高温超伝導体 / ハバードモデル / クラスター摂動理論 / 擬ギャップ / ホールドープ / 電子ドープ / 次近接ホッピング |
Research Abstract |
銅酸化物高温超伝導体の金属-絶縁体転移(モット転移)近傍では、様々な異常な振る舞いが観測されており、それらは高温超伝導のメカニズムと密接に関連していると考えられている。本研究では、2次元系のモット転移近傍の電子状態の特徴を明らかにするために、2次元ハバードモデルに対してクラスター摂動理論による数値シミュレーションを行った。シミュレーションで得られた結果について、1次元系からの摂動理論に基づく考察を加えることにより、2次元系のモット転移近傍の主な特徴は、1次元系の性質が連続的に変化したものとして説明できることを明らかにした。特に、モット転移については、2次元系でも1次元系の場合と同様に、モット転移に向けて1電子励起の分散関係がモット絶縁体のスピン波励起のものへと連続的に変化し、下部ハバードバンドの電子を加える励起スペクトルの強度が徐々に消失することを明らかにした。このことから、モット転移は、電子の動きをスピン自由度に残したまま、電荷の自由度が凍結する転移として特徴づけられることがわかった。また、このモット転移の描像から、高温超伝導体で観測されている様々な異常な振る舞い(擬ギャップ、フェルミアーク、スピンノン的励起、ホロン的励起、分散関係のキンクとウォーターフォール、ドーピング誘起状態、ホールポケットなど)を、2次元系のモット転移近傍の性質として統一的に説明することに成功した。さらに、次近接ホッピングを導入したモデルを考えることにより、ホールドープ系および電子ドープ系の高温超伝導体で観測されている特徴についても、統一的に説明することができた。
|
-
[Journal Article] Kosterlitz-Thouless-Type Transition in a Charge Ordered State of the Layered Organic Conductor α-(BEDT-TTF)2I32013
Author(s)
S. Uji, K. Kodama, K. Sugii, Y. Takahide, T. Terashima, N. Kurita, S. Tsuchiya, M. Kohno, M. Kimata, K. Yamamoto, and K. Yakushi
-
Journal Title
Physical Review Letters
Volume: 110
Pages: 196602 1-5
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-