2013 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子系化合物の量子臨界点近傍でのフェルミ面変化の実験的検証
Project/Area Number |
23540430
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
岡根 哲夫 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (10391278)
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Keywords | 重い電子系 / 量子臨界点 / 希土類金属 / 光電子分光 / X線吸収磁気円二色性 |
Research Abstract |
本研究は、重い電子系セリウム化合物におけるセリウム4f電子の遍歴→局在転移における電子状態の変化を具体的に理解することを目的としている。本研究における最も主要な実験はCeRu2Si2の希釈系化合物において組成(→化学的圧力)に依存したフェルミ面の変化を磁性発現境界(量子臨界点)の近傍で調べる共鳴角度分解光電子分光であるが、さらにセリウム4f電子の性質を詳細に調べるために、測定手法として軟X線吸収磁気円二色性測定を導入し、これをCeRu2(SI,Ge)2や(Ce,Gd)Niに適用している。 本年度は、重い電子形形成に伴うCe 4f電子の磁性状態変化を調べることを目的とした(Ce,Gd)Niに対する軟X線吸収磁気円二色性測定実験の結果から、Ce 4f電子、Gd 4f電子、Ni 3d電子の磁性状態を分離して観測し、特にCe 4f電子の磁性に特異な磁場依存性と温度依存性があることを明らかにした研究成果をInternational Conference on Strongly Correlated Electron Systemsにおいて講演発表するとともに、実験結果をまとめた論文をproceedingsとして投稿し、Journal of the Physical Society of Japan誌に掲載受理された。 また、CeRu2Si2希釈形化合物において組成に依存したフェルミ面変化を調べる共鳴角度分解光電子分光実験について、強磁性ー反強磁性境界を調べるために、基底状態で強磁性秩序を持つCeRu2(Si0.1Ge0.9)2という組成の試料を新たに入手し、基底状態が反強磁性であるCeRu2(Si0.82Ge0.18)2との比較を試みた。実験結果は現在解析中である。
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Research Products
(2 results)