2011 Fiscal Year Research-status Report
有限要素法によるポーラス・コロイドフォトニック構造の特性解析
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23540436
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
植田 毅 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30251185)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ランダム系 / 構造色 / フォトニック・アモルファス / ポーラス構造 / 有限要素法 / 電磁波 / コロイド |
Research Abstract |
研究代表者が平成24年度より千葉大から慈恵医大へ所属が代わり、千葉大の高速演算サーバーが利用できなくなったこと、また、慈恵医大のネットワーク環境では学外からのアクセスが許可されておらず、研究協力者である名古屋大学大学院博士課程3年藤井雅留太氏との連携が取れないため、研究方針の練り直しが必要となった。また、計画停電、節電対策のため長時間の計算の見通しが立たず、今年度導入予定であったデータストレージの導入を見送った。(2)については共同で2次元ランダム系での電磁場の伝導特性の解析研究を藤井氏が行っており、名古屋大学で大規模な2次元ランダム系の透過・反射特性を計算して、有限要素法によるランダム系における電磁場伝導問題の有効性を確認した。その結果、誘電体境界での電磁場の精度を確保するためには予想以上にメッシュを細かくしなければならないこと、また、大きな系では2次元系でもかなり大きなメモリと計算時間を要することが分かった。3次元化においてメッシュを切る手法の工夫が必要であることが明らかとなっている。また、2次元系での伝導特性の物理的成果はシンガポールで開催されたICMAT2011において発表した。 (1)については11月19日名古屋大学において開催された構造色研究会第12回構造色シンポジウムにおいて情報収集を行った。東大生産研枝川教授が4分岐構造をユニットとする構造の乱れた系(フォトニック・アモルファス・ダイアモンド)がバンドギャップを示し、構造色の有望なモデルとなりうるとの提案を得た。この構造の大構造は本研究で提案しているポーラス構造により再現され、モデルの方向性を確認し、有効なパラメータの範囲を特定できた。 獨協医大宮本潔教授からカワセミの羽根の網目構造の3次元構造を実験的に得られるかもしれないとの提案を受け、当初諦めていた実験データに基づくモデルの構築にも取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属先の変更により千葉大学の高速演算サーバーが利用できなくなったこと、慈恵医大のネットワーク環境では研究協力者が慈恵医大内の計算機を利用できないことからデータストレージの導入を見送った。そのため、2次元ランダム系での電磁場伝導特性解析用有限要素コードの3次元化については実行できていない。しかし、今年度は藤井氏が名古屋大学において、2次元系での大規模な数値計算を実行し、必要なメモリ、計算時間の等のノウハウの蓄積ができた。これにより、24年度以降の進展の糧となる。また、網目構造の数理モデルの構築については実験データが得られていないので、パラメータを設定して、特性解析を行い、適切なものを探る作業になるつもりで、多大な時間が必要であると見積もっていたが、東大生産研枝川先生のフォトニック・アモルファスの提案により、数理モデルの方向性が決定できた。これにより、モデル構築の時間が大幅に短縮でき、その意味においては大幅な進展見られている。また、実験データの測定の努力を行っているのでより良いモデルの構築にも繋がる。計画全体としては概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が23年度に異動した慈恵医大のネットワーク環境では学外からのアクセスが許可されておらず、研究協力者などとの連携が取れないため、研究方針の練り直し、また、計画停電、節電対策のため長時間の計算の見通しが立たず、今年度導入予定であったデータストレージの導入を見送った。 平成24年度より研究協力者であった名古屋大学大学院の藤井雅留太氏が秋田県立大学助教に着任したことから研究分担者として研究組織変更を行う。また、23年度に導入予定であったデータストレージ、24年度導入予定であった高速演算サーバーを統合して導入予定であるが、慈恵医大のネットワーク環境では研究分担者が利用できないため、藤井氏に2,000,000円の研究費を分配し、平成24年度に秋田県立大学に高速演算サーバーを導入する。藤井氏はこの高速演算サーバーを用いて、これまで開発した2次元ランダム系の有限要素法のコードを3次元系へ拡張し、構築した羽根の構造モデルを用いた計算を実行し、特性解析を行う。また、枝川先生がフォトニック・アモルファス・ダイアモンド構造において、バンドギャップが発生するのはそのユニット構造である、テトラポット構造が4分岐構造になっていることが重要であると指摘している。そこで、このテトラポット構造単体での電磁場の流れ、特にポインティングベクトルの流れの様子を研究協力者の名古屋大学大学院修士課程の猪飼氏に実行してもらう。その特性を確認後、周期系、アモルファスの特性解析を行い、その後、我々の提案するポーラス構造による特性解析を実行する。さらに、獨協医科大学宮本先生の結果に基づき、実験データに基づく網目構造のモデルを構築する。 23年度に計算機が使えなかったことから前倒して進めていた、コロイド系の運動と光の直接相互作用のマクスウェル方程式、ランジュバン方程式を連立した被支配方程式を導出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に購入予定で見送ったデータストレージと平成24年度導入予定の高速演算サーバーを同一筐体として導入する。これは、秋田県立大学に分配した2,000,000円で購入する。 また、9月にロシアで開催されるメタマテリアルの国際会議でこれまでの研究成果を藤井氏が発表する。その参加費、交通費支出する。 通常、藤井氏とのディスカッションは物理学会、機械学会などの折に行う予定であるが、その中間時点での議論のために、秋田県立大-慈恵医大間の旅費を3回分利用する。 研究協力者である猪飼氏とのディスカッションのために名古屋大学への旅費を2度、猪飼氏への謝金を支払う予定である。
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Research Products
(6 results)