2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540437
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
御領 潤 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70365013)
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Keywords | トポロジカル超伝導体・絶縁体 / スピン軌道相互作用 / 境界状態 / マヨラナ状態 / 空間反転対称性の局所的破れ / ゲージ場の理論 / チャーン・サイモン項 / 量子異常 |
Research Abstract |
SrPtAsの超伝導状態に関する議論を行った。この物質は、六方晶ベースの反転対称性を局所的に破るような結晶構造を持つ点が興味深い。今年度の成果としては、この物質の超伝導状態が時間反転対称性をやぶるトポロジカルなカイラル d-波状態である可能性が非常に高いことを、ミューオンスピン緩和時間測定に関する実験グループとの共同研究により明らかにした。さらには汎関数繰り込み群による超伝導発現機構のより詳細な議論を行い、この物質のバンド構造との兼ね合いからカイラルd-波状態が確かに安定化されることを示した。そして試料境界においてカイラルなMajorana状態が存在すること、および3次元的フェルミ面において生じるポイントノードの回りの励起が Majorana Weyl 状態となり、試料内部に存在することを示した。 また、トポロジカル絶縁体に置けるクーペロン(2電子束縛状態)の励起、およびその凝縮状態に関する議論についても進展が見られた。トポロジカル絶縁体の模型として蜂の巣格子上のKane-Mele模型を考え、そこに引力相互作用を導入すると、引力相互作用を強めて行くとともにクーペロンの励起や凝縮状態が発生する。このときのクーペロンの波動関数の対称性と、Kane-Mele模型のエッセンスであるトポロジカルなスピン軌道相互作用の関連を見るのがこの研究の目的であるが、その結果、最近接サイト間相互作用の強さを強くした場合、クーペロンはヘリカルなスピン3重項状態となることを示すことが出来た。この安定化の機構は、トポロジカルなスピン軌道相互作用が、電子のスピン、蜂の巣格子の副格子構造、およびブリルアンゾーンに現われるバレー構造を非自明なかたちで混ぜ合わせていることから生じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画時には未発見であった超伝導体SrPtAsの研究をスタートし、その超伝導状態がトポロジカルに非自明な状態であることを明らかにすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続きSrPtAsの超伝導状態について議論を進めていく。この超伝導体は空間反転対称性の局所的破れの効果によりスピン軌道相互作用項が誘起されるが、この項がトポロジカル絶縁体の標準的な模型であるKane-Mele模型で導入されたスピン軌道相互作用と等価である。このことから、トポロジーと超伝導に関するより非自明な関係について議論することが出来ると期待している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外への長期滞在期間中に支給された助成金を、海外滞在中であったため使用することが出来ず、繰り越しされている。 主に、国内外の学会への出席やセミナー講演、および研究交流のために使用する。
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[Journal Article] Evidence for superconductivity with broken time-reversal-symmetry in locally noncentrosymmetric SrPtAs2013
Author(s)
P. K. Biswas, H. Luetkens, T. Neupert, T. Stuerzer, C. Baines, G. Pascua, A. P. Schnyder, M. H. Fischer, J. Goryo, M. R. Lees, H. Maeter, H.-H. Klauss, M. Sigrist, A. Amato, and D. Johrendt
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 87
Pages: 180503 1-4
DOI
Peer Reviewed
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