2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540437
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
御領 潤 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70365013)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | トポロジー / スピン軌道相互作用 / カイラル超伝導状態 / ゲージ場 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピン軌道相互作用と、トポロジカルな超伝導状態の関連について研究を行って来た。具体的には、(i)局所的に反転対称性を破る結晶中のカイラルd-波超伝導体SrPtAs, および (ii) 蜂の巣格子上のKane-Mele トポロジカル絶縁体に置けるクーペロン対凝縮状態である。
(i) に関しては試料の表面における束縛状態の輸送現象に注力して研究を進めた。通常カイラルd-波状態では、表面にカイラルな状態が生成され、自発電流が流れる [最近の進展によると、自発電流は結晶の対称性と密接な関連があることが指摘されているが、SrPtAsのように六方晶ベースでカイラルd-波状態が2次元既約表現として含まれている場合、自発電流は流れる]。ところでスピン軌道相互作用が存在する場合は、電流のみならずスピン流が流れることが、カイラルp-波超伝導体Sr2RuO4の模型に対して示されている。これと同様な現象が、同じカイラルでもカイラルd-波で、かつ、スピン軌道相互作用のタイプが異なるSrPtAsでも発生することを示した。さらに表面の形状の違い(zigzag型表面、およびarmchair型表面)が、準粒子エネルギースペクトル、電流分布、スピン流分布、スピン密度分布の定量的な違いを及ぼすが、この理由に関しても詳細な検討を重ねている。
(ii)に関しては、クーペロン・ペアリングの波動関数の対称性に関する詳細な検討を行った。また、最近接サイト間の引力相互作用のみ取り込んだ状態を考えると、同じバレー間同士でペアを組むような、すなわち空間変調を伴うペアリング状態が発生することを示した。
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