2011 Fiscal Year Research-status Report
マルコフ連鎖モンテカルロにおける幾何学的手法の研究
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23540438
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤堂 眞治 東京大学, 物性研究所, 教授 (10291337)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アルゴリズム / 計算物理 / 磁性 / 統計力学 / 物性理論 / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「埋め立て法」や「Walker法」に代表される独創的な幾何学的手法をさらに発展させることにより、モンテカルロ法の収束を劇的に改善する方法を見出し、それらの新しい手法をランダムスピン系の統計力学に応用し、さらに、新しいアルゴリズムに基づくソフトウェアの整備・公開することにある。我々の「埋め立て法」では、1)詳細釣り合いを明示的に破り、2)棄却率を最小化する。今年度はこれを拡張し、詳細釣り合いを満たしつつも棄却率を最小化するアルゴリズムを開発し、ポッツ模型の局所更新法に用いた場合、従来の埋め立て法と同程度に有効であることを示した。このアルゴリズムは、ダイナミクスなど詳細釣り合いの有無が影響する場合に特に有用である。また、「埋め立て法」の連続系への応用を行った。従来の熱浴法を拡張するだけでなく、分子動力学法を用いたハイブリッド法を組み合わせることにより、従来の方法に比べ、数倍~10倍程度効率良くサンプリングが行えることを示した。加えて、「埋め立て法」にもとづく「棄却なし向き付きフープ量子モンテカルロ法」のプログラムを作成し、従来の方法では緩和が遅くシミュレーションが困難であったスピンパイエルス系の量子相転移現象を調べ、2次元における「スピン液体」状態の存在の可能性を示した。他にも、量子モンテカルロ法によるエネルギーギャップの精密測定法、量子モンテカルロ法により求めたエネルギー準位の交差により相転移点を精度よく求める「量子モンテカルロレベルスペクトロスコピー法」の開発とスピンパイエルス系の相転移への応用、トポロジカルな秩序変数として期待されている局所Z2ベリー位相の量子モンテカルロによる測定法の開発、相互作用の非等方性が強い系に対する有効な有限サイズスケーリング法の開発などを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に挙げた、アルゴリズム開発、それにもとづくプログラム開発、さらにそれを用いた量子スピン系の研究が平行しておおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究を継続するのと同平行して、既存のモンテカルロ法との組み合わせ手法の探求とその効果の検証(長距離相互作用系におけるO(N)法との組み合わせ、拡張アンサンブル法との組み合わせ、波数空間・周波数空間での直接モンテカルロ法の開発)を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、他の研究者との情報交換・研究打合せ・成果発表のための出張旅費、およびプログラム開発・資料整理に対する謝金、その他消耗品に研究費を使用する計画である。
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Research Products
(10 results)