2011 Fiscal Year Research-status Report
膨張・低密度化液体Seの構造相転移-鎖分子とvoid分布に現れる「ゆらぎ構造」-
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23540441
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
丸山 健二 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40240767)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 液体構造 / 半導体・金属転移 / 中距離相関 / X線散乱 / 中性子散乱 |
Research Abstract |
液体セレンの高温・高圧下のX線散乱測定をSPring8にて行った。2点の圧力にて精度の良いデータを得ることができた。測定は白色X線を用いたエネルギー分散法によって行っているため,構造因子を精度良く求めるには種々の補正が必要である。解析において特に7ヶ所ある散乱測定窓間の散乱強度の接続に注意することによって信頼性の高い構造因子を得ることができた。 この結果について3次元構造モデルを得るために逆モンテカルロ法の適用を行った。セレンは液体状態でも共有結合が存在する異方性の高い構造を有するので、通常の方法では合理的なモデルを得ることは難しい。そこで、今回特に問題となる3角形配置や配位数分布の点で制限を課した新しい方法の開発を行った。その結果これまで計算機シミュレーション等でえられている結果を整合する構造モデルを得ることができた。今後この結果を元に液体セレンの構造変化の解析を続行する。 また液体水銀の構造解析について、これまでの空隙(void)を用いた中距離構造解析をさらにすすめ、voidを形成する四面体間のつながりを用いて体積膨張に伴う液体中の金属ドメインから半導体ドメインへの変化のモデルを提案した。 これらの結果について連携研究者他とともに研究会を開催しその結果を論文発表する準備を進めている。また、日本物理学会および第8回液体物質国際会議(LM8)のほか研究会等で発表した。 このほか、液体の中長距離構造と揺らぎの理解のためにアルコール水溶液の静的・動的構造の研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液体カルコゲンのX線散乱を予定通り実施しデータ解析を行っている。液体Seについて半導体・金属転移温度付近まで測定を終了している。また、データ解析についても逆モンテカルロ法などの開発はほぼ終了した。この点で目的はほぼ達成ししている。ただし、最終目的とする金属状態における測定が終了していない。 中性子散乱測定は震災の影響で実質行うことができなかったが、代わりに逆モンテカルロ法などのデータ解析法の開発を行うことができた。また、散乱測定の際必要となる多重散乱パラメーターの計算を続行し、今後の測定に用いることができるようになった。このように、実験の代わりにデータ解析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
液体カルコゲンの半導体・金属転移の構造解析に必要な散乱実験・構造解析を続行する。特に中性子散乱測定が可能になるので液体およびアモルファスカルコゲン等の測定を実施する。逆モンテカルロ法等の開発・適用について国内外の研究者と連携して研究を進める。 このほか過冷却テルル・金-セシウム混合系などの測定を行う。 以上の結果は国内外の学会・研究会にて発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
液体カルコゲンなどのX線・中性子線散乱測定を行うために、測定セルの作成や試薬の購入が必要である。中性子測定については平成23年度は震災の影響で実際の測定ができなかったためその費用を繰り越して次年度以降測定を行う。これらの実験のために旅費・消耗品等を支出する 解析に関する国際会議に出席するために国際旅費を支出する。そのほか国内発表や研究会のための旅費の支出が必要である。
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Research Products
(9 results)