2013 Fiscal Year Annual Research Report
膨張・低密度化液体Seの構造相転移-鎖分子とvoid分布に現れる「ゆらぎ構造」-
Project/Area Number |
23540441
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
丸山 健二 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40240767)
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Keywords | 液体の構造 / 逆モンテカルロ法 / デロネー分割 / 液相相転移 |
Research Abstract |
高温高圧下の液体セレン(Se) に見られる半導体-金属転移の起源を探るために構造変化の解析を行った。研究全体のはじめにSPring-8において液体SeのX線散乱実験を行い、1600bar、1600℃の高温高圧までの構造データを得ることに成功した。この条件は半導体-金属転移領域を含み、研究の目的を達するのに十分なものである。このデータについて必要な補正等を行い構造因子S(Q)を求めることができた。 次に、このS(Q)に基づいて3次元構造モデルを構成した。このために、共有結合を含む液体にも適用できる逆モンテカルロ法を開発した。得られた構造モデルの中距離に及ぶ構造変化を明かにするために、これまで水銀等で行ったデロネー分割を応用した四面体構造ユニットの解析をSeについても行い、空隙(void)サイズの変化が見いだした。しかし、これまで提案されていたSe原子鎖のラセンからジグザグへの変化を直接見ることにはならなかった。。 そこで、最終年度では構造モデルのSe原子鎖を分離し鎖構造の詳細な解析を行った。このとき、隣り合う原子による四面体あるいは3角形を構造ユニットとして用いることによりラセンとジグザグの比較をすることが可能になった。 さらに、実験的に得られた構造変化が実際に電子状態転移の起源となっていることを確かめるために、構造モデルを元にした量子計算により電素状態を確認した。例えば水銀においては、四面体ユニットの接続形態(頂点共有や陵共有)のよってエネルギーギャップの状態が変化することを見出した。 以上の研究に並行して、逆モンテカルロ法の新しい手法を開発し、種々の構造データについて適用可能にすることに成功した。
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