2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540446
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
樋口 雅彦 信州大学, 理学部, 教授 (10292202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 克彦 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (20325145)
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Keywords | 動的CDFT / メタマテリアル / 相対論的強束縛近似法 / 磁場下電子構造 / 磁気的ブロッホの定理 / 磁場下超伝導体 / 超伝導CDFT |
Research Abstract |
25年度の研究実績を研究実施計画に挙げた項目ごとに述べる。 (1)動的CDFTの構築: 24年度はメタマテリアルの電磁波応答現象の記述に不可欠な内部電磁場をハミルトニアンに取り込むことに成功した。25年度はそれを基礎に「動的CDFT」を完成させた。具体的には以下のことを行った:(a)動的CDFTにおける存在定理の証明と、ディラック・フレンケル変分原理の密度による変分原理への書き換え。(b)上記2つの基本定理を用いて電流密度と電荷密度を正しく予言する有効一電子方程式の導出。 動的CDFTは微視的マクスウェル方程式と連立させることによって電磁波の応答現象が記述できる。メタマテリアルの新奇な物性を微視的かつ第一原理的に議論する理論的道具が整った。 (2)dHvA効果の再考のための磁場下固体の強束縛近似の開発: 23、24年度では、相対論的効果に関しては波動関数の小さい成分を適宜無視した近似的な扱いをしていた。25年度は、小さい成分の効果も取り込んだディラック方程式による磁場下強束縛近似の定式化を行った。本手法を磁場下シリコンに適用したところ、磁場によりブリルアンゾーンが縮小(平成23年度の磁場下対称性の議論の成果)した全く新しいエネルギーバンド図が得られた。本手法と前年度開発した有限温度・静的CDFT-VEAを組み合わせれば、dHvA効果の再考が可能となる。 (3)磁場下超伝導体における静的CDFT: 24年度より磁場下超伝導体の静的CDFTの開発を行っている(電流誘起系の典型例で当初は研究計画になかった課題)。24年度はスピン一重項のみの定式化であったが、25年度は、スピン三重項のみならず、一重項と三重項の混合した超伝導体や、さらには重心座標に依存したクーパー対を持つ超伝導体にも適用可能な理論を構築した。とくに後者の理論的拡張は、磁場下での超伝導状態、すなわち渦糸状態では重要である。
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