2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540448
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
阿部 純義 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70184215)
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Keywords | 量子熱力学 / オペレーショナル・アプローチ |
Research Abstract |
本研究による実績はふたつに大別される。ひとつは、量子力学と熱力学の理論的構造の類似性と相違性に基づいて、Carnotサイクルの量子力学的な類似物を考え、その種々の物理的性質を明らかにしたことである。もうひとつは、正値演算子値測度をなす非ユニタリーな完全正値演算をもちいて、熱力学的過程を記述し、Clausiusの不等式が破れうる可能性に対する新しい視点を見いだしたことである。具体的には、以下のようである。 まず、ひとつめの範疇に属する結果で特に重要なのは、有限時間熱力学の考えを適用して、出力が最大である場合の量子力学的サイクルの効率に対する結果を導いたことである。単純な無限井戸型ポテンシャルの場合、その値が0.57397...であることが分かった。この値は系に含まれるいかなる物理的パラメータにも依存しないという意味で普遍的である。 ふたつめの範疇に属する結果としては、ゼロ温度での与えられた純粋基底状態を任意の完全にコヒーレンス損失した混合状態に写像するunitalな完全正値量子演算を構築し、その繰り返し作用によって生成される熱力学的過程に対して熱量とvon Neumannエントロピーを評価し、上述の結果を得たことである。また、この演算とは異なる非unitalな完全正値量子演算を新たに構築した。後者は、Thermofield Dynamicsに関連するものであり、先のunitalな演算と同様に、純粋基底状態を任意の完全にコヒーレンス損失した混合状態に写像する。この意味で、二つの演算は同等のように思われるが、違いは演算の繰り返しによって明らかになることから、それらの比較研究を行った。
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Research Products
(4 results)