2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540449
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 隆夫 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50127990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 裕也 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (40344048)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 非線形ダイナミクス / 位相ダイナミクス / 自己推進粒子 / 散逸伝搬波 / フィードバック |
Research Abstract |
自己推進系として「非線形散逸伝搬波」と「変形する自己駆動粒子集団」を対象として、前者に対しては外場やフィードバック相互作用による制御と安定性を、後者に対しては外場と粒子間相互作用による多彩な運動形態と安定性を研究してきた。非線形散逸伝搬波では、これまで定式化されていない新たな位相ダイナミクスを進展させる必要がある。変形可能な自己駆動粒子系の研究では、まず、外場におかれた1個の変形可能な粒子のダイナミクスを調べた。変形する自己駆動粒子間に相互作用がある場合の協同運動と乱れの研究は現在進行中である。 非線形散逸波の外場による引き込み現象では、非線形振動子と同様のサドル・ノード分岐だけでなくホップ分岐も現れることを数値シミュレーションで確認した。このダイナミクスを正しく表現するには、少なくとも二種類の位相が必要であることを指摘した。 変形する自己駆動粒子系の研究ではまず、重力や電場に置かれた変形する自己駆動粒子の運動と分岐に関して計算機シミュレーションと理論解析を行った。次に、3次元空間内での変形する自己駆動粒子の発展方程式を反応拡散系から導出した。さらに、変形する自己駆動粒子集団の秩序運動から乱れた運動への非平衡転移を数値シミュレーションで調べ、転移の性質を明らかにすることを目指している。 一見無関係にみえる「非線形散逸伝搬波」と「変形する自己駆動粒子集団」の二つの系に対して、ある場合にはどちらも位相ダイナミクスの方法が有効である。自己推進系の非線形ダイナミクスの数理構造を統一的立場から解明することは非線形ダイナミクスの分野に大きく貢献すると同時に、ナノ、メゾスケールでの粒子ダイナミクスや生体細胞ダイナミクスなどの対する貢献も期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の計画のうち、3次元自己推進粒子の運動と外力中の自己推進粒子の運動についてはすでに論文として公表している。非線形散逸波の外場による引き込み現象については、論文投稿中である。変形する自己推進粒子集団の秩序運動とその崩壊については、論文にまとめる作業中である。このように当初の計画に従って研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者中尾准教授との共同研究は、当初の目的を実質的に達成したので、今後は、その成果に基づき数名の大学院学生を指導し、かれらの協力を得ながら研究を遂行していく。計画の変更や問題点はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額20万円あまりは、23年度にドイツに共同研究に行く予定であったが、受け入れ先研究者の個人的事情でそれをキャンセルせざるを得なかった。その事情は、現在は解消しているので、今年度に訪問する予定である。研究計画に記載の二つのテーマを調整しながら遂行しているのでこの変更により、研究の進展に遅れがでることはない。 今年度は、代表者の成果発表旅費や研究打ち合わせ旅費、共同研究を受け持っている大学院学生の成果発表などに約100万円使用する。残りは計算機関係、図書、謝金などに使用する予定である。
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Research Products
(16 results)