2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540449
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 隆夫 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50127990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 裕也 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (40344048)
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Keywords | 非線形ダイナミクス / 位相ダイナミクス / 自己推進粒子 / 散逸伝搬波 / フィードバック |
Research Abstract |
非線形散逸波のダイナミクスに関しては、前年度の研究をさらに発展させ、以下の二つの課題について研究を行った。一つはチューリングパターンを示す興奮性反応拡散方程式に遅延フィードバックをかけ、その強度と遅延の大きさを変化させたときの振る舞いを計算機シミュレーションと理論解析で調べた。動かない空間周期間が伝搬を起こしたり、空間周期構造が不安定化し一様な時間振動に変化するなどの結果を得た。もう一つは動かない孤立局在解に遅延フィードバックをかけることにより伝搬をおこさせたり、あるいは、伝搬を停止させたりの制御が可能であることを示した。これらの成果は非平衡パターンの制御への応用の可能性を開くと同時に、非線形ダイナミクスの新たな理論展開を起こすものとして意義がある。 自己推進粒子ダイナミクスにおいては、並進運動だけではなく回転(スピン)運動も起こす場合のモデル化とその性質を2次元と3次元で詳細に研究した。並進、変形、スピンの非線形結合により、多彩なダイナミクスが現れることを予言している。自己推進粒子集団のダイナミクスについても空間2次元で大規模な数値シミュレーションを行った。粒子密度を増加させると秩序だった運動が現れるが、さらに密度を上げると秩序状態が崩壊することを見いだした。さらに、この秩序崩壊の近傍では一様伝搬秩序状態は不安定化し、無秩序状態のバンド構造が発現することを発見した。粒子の推進速度が周りの粒子密度の増加関数であるようにモデルを拡張するとバンド構造が容易に出現することも確認した。これらの成果は非平衡での集団ダイナミクスの転移に対して新たな知見を加えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己推進粒子集団のダイナミクスについてはすでに論文として公表している。また、新しいモデルに関する結果も学術雑誌に公表している。さらに、スピンまで考慮した自己推進粒子1個のダイナミクスについても2次元と3次元の両方に関して論文として公表している。非線形散逸波のフィードバックダイナミクスに関しては孤立局在解とチューリングパターンのそれぞれに関して、物理学会、国際研究集会などで発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
自己推進粒子のスピンについては、角運動量を生成して回転する場合の他に、粒子の表面に伝搬波が生じてその結果、回転が起こる場合もある。さらに、回転だけではなく二つの変形を行き来する定在波の可能性もある。このダイナミクスは細胞運動や垂直加振の液滴の運動などと密接に関係する重要な研究テーマである。非線形伝搬波については外力、フィードバックのあるダイナミクスの理論研究をさらに進め結果を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ドイツの関係する研究機関に滞在し共同研究を行う。また、国内でも、九州大学と北海道大学に比較的長期間訪問し共同研究を行う。したがって、研究費は、主として、国内、海外への出張旅費等に使用する予定である。
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