2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540449
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 隆夫 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (50127990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 裕也 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (40344048)
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Keywords | 非線形ダイナミクス / 自己推進粒子 / 散逸伝搬波 / フィードバック / ソリトン的振る舞い |
Research Abstract |
自己推進系として「非線形散逸伝搬波」と「変形する自己駆動粒子の個別運動と集団運動」を対象として、前者に対しては外場やフィードバック相互作用による制御と安定性を、後者に対しては外場と粒子間相互作用による運動形態と安定性を研究してきた。 今年度は、反応拡散系でのフィードバック制御については、フィードバックの時間と強さをパラメータとしてチューリングパターンのダイナミクスの相図を作成した。その運動のいくつかについては解析的理解を進めた。特に、フィードバックによる不安定化条件についてモデルの詳細によらない理論結果を得た。自己推進粒子系では、反応拡散系の理論を流体相互作用をする系にまで拡張した。個別運動においては、並進運動の他に回転(スピン)運動も起こす場合のモデル化とその性質を2次元と3次元で詳細に研究した。また、並進、変形、スピンおよび、流れ場の非線形結合により、多彩なダイナミクスが現れることを予言した。 自己推進粒子集団のダイナミクスについては空間2次元で大規模な数値シミュレーションを行った。粒子の推進速度が周りの粒子密度の増加関数であるようにモデルを拡張すると、一様な秩序状態が不安定化し伝搬するバンド構造が出現することを示した。予想しなかった結果として、上に述べた伝搬するバンドは正面衝突によって壊れず、あたかもソリトンのように振る舞うことを発見した。この結果を粘菌の孤立密度波でみられるソリトン的振る舞いの実験と比較検討した。関連する研究として、自己推進粒子集団が周期構造を形成して並進運動するとき、速度などに依存してどのような構造が安定であるかの研究も行った。 これらの研究成果は非線形科学に新しい知見を与えるものであり、長期的には非平衡メゾスコピック構造の形成と制御などへの応用が期待できる。伝搬するバンドの衝突におけるソリトン的挙動は今後さらに解明すべき重要性を持つテーマである。
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Research Products
(14 results)