2013 Fiscal Year Annual Research Report
テンソルネットワーク変分法を用いた量子フラストレーション系の数値的研究
Project/Area Number |
23540450
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 健自 京都大学, 情報学研究科, 助教 (80303882)
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Keywords | Valence bond solid / テンソルネットワーク / SU(N) JQモデル / SO(N) BLBQモデル / 量子モンテカルロ法 / 負符号問題 / 対称性で保護されたトポロジカル秩序 / 非局所ユニタリー変換 |
Research Abstract |
正方格子上のJ1-J2モデルに格子の回転対称性が破れたValence Bond Solid (VBS) 秩序相が存在することが我々のテンソルネットワークを用いた計算からわかったが、ネール相とVBS相の相境界付近はテンソルネットワークを用いた計算では十分な精度を確保する事が現状では難しかった。そこで、量子モンテカルロ法が適用可能な負符号問題のないモデルとして、先行研究が豊富な正方格子上のSU(N) JQ モデルについて、SU(N)磁性相とカラムナーVBS相間の量子相転移現象を調べた。先行研究と同様に臨界現象特有のスケーリング則の成立を確認したが、弱い一次転移を示す兆候を特に大きなシステムサイズにおいて確認した。この結果は今後の磁性相とVBS相間の基底状態研究に多くの示唆を与える。 正方格子上のJ1-J2モデルでは、ネール相とVBS相間に中間相としてトポロジカル秩序相の存在も議論されている。それに関連して、対称性によって保護されたトポロジカル秩序の存在が良く理解されている1次元量子系でのトポロジカル秩序相とVBS相間の相境界付近を研究した。我々のアプローチは、非局所ユニタリー変換によりトポロジカル秩序を磁性秩序に変換する事が特色である。この変換により、SO(N) bilinear-biquadratic (BLBQ) モデルを量子モンテカルロ法も適用可能なボゾンモデルに変換する事ができる。ワームアルゴリズムを用いたシミュレーションから、有限温度のエントロピーがSO(N)対称性に強く依存する事等、特にトポロジカル秩序相での有限温度での振る舞いを明らかにした。
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