2011 Fiscal Year Research-status Report
密度非一様性のある非定常界面の非線形発展に関する数理的研究
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23540453
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松岡 千博 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (10270266)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
密度非一様性のある高次元界面の複雑な形状を高精度で数値計算できる支配方程式および数値計算スキームを開発するという研究目的を掲げ研究を遂行している。流体の密度が一様な場合の3次元流体中に生じる界面の運動を解析した研究は(数は少ないが)ゼロではない。それに対し、密度非一様性のある3次元界面の数値計算は、その支配方程式の導出すら行われていないのが現状である。本研究では、これまで行ってきた2次元密度非一様流体界面(渦層)の研究を3次元へと拡張し、界面の運動を記述する支配方程式の構築と、それを数値計算できるスキームの開発を目指した。現在までに、円筒、ヘリカル(らせん)型について、その支配方程式の導出と数値計算に成功した。この研究により、密度非一様性があると、完全な軸対称円筒界面から出発しても、時間がたつと、方位角方向に回転運動が生じることがわかった。密度が界面を挟んで同じ場合にはこのような回転運動は生じない。従って、この解析により、今まで知られていない全く新しい現象が発見されたことになる。 また、上記研究の応用として、磁気流体(MHD)中に生じる電流渦層の時間発展に関する研究も開始した。最近、高速で運動する密度界面に磁場を作用させると、流体界面の近傍で非常に強い磁気的エネルギーが発生することが阪大のグループによる直接数値シミュレーション(DNS)によって見出された。これは超新星爆発時に放出されるガンマ線バーストの物理モデルとして研究されたもので、これにより、従来の理論では説明できなかった放出ガンマ線の異常な強さを説明することが可能となり、観測とよく合う結果が得られた。私はこのグループと共同研究を行い、その物理的機構の解明をめざしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に記した、密度非一様性のある界面の複雑な形状を高精度で数値計算できる支配方程式および数値計算スキームを開発する、という目的のうち、密度非一様性を伴った円筒型界面に関しては、関連の学会や国際会議等でその成果が発表でき、現在論文を一本投稿中である。これは平成23年度に目的とした研究のひとつであるので、これに関してはおおむね順調に進展しているといえる。 また、磁気界面の研究は本研究申請時には研究予定がなかったが、共同研究者ができたこともあり、新たに研究を始めた。こちらの方もすでに国際会議の招待講演として発表した実績があり、共同研究者とともに現在論文を一本投稿中である。おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
Swirlと呼ばれる軸方向の回転流を考慮した3次元密度非一様流体中における円筒型渦層に重力項を入れた支配方程式の数値計算に取り掛かっており、本年度中に論文を上梓したいと考えている。 また、磁場を入れたMHD方程式中に現れる渦層の理論の構築と数値計算にも取り組む予定である。これまでのところ、界面(渦層)近傍にそれを挟んで鏡像関係になるようにプラスとマイナスの電流層が現れることがわかっており、この電流が渦層のもつ渦度と相互作用して磁場を強めているのではないかと考えるようになった。この研究に関しては共同研究者とともに論文を1本投稿中であるが、今のところ現象論的な解析に終始しているので、これまで行ってきた界面の研究に磁場を入れたMHD方程式を用いて、もう少し数学的に厳密なモデルを構築したいと考えている。これまで磁気流体中の渦層の運動を調べた研究は存在しないので、これが解析できれば応用数学・流体物理のみならず、宇宙物理の分野にも大きく貢献することができると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Swirl流のある渦層の数値計算とMHD中の渦層の数値計算は全く別のプログラムであり、同じ計算機で同時に走らせることはできない。どちらもかなり時間とメモリーを必要とする計算であるので、前年度の研究費で購入したワークステーションを前者の数値計算にあて、MHD渦層の本計算の方は次年度の研究費で新たに購入を予定しているGPU計算機にやらせる予定である。これは前年度のものよりかなり高速で計算できるマシンになる予定なので、それによって研究が滞りなく進展するものと期待している。 また、MHD渦層の研究に関しては、24年度中に流体関係の国際会議で発表することが決まっており、その海外旅費にも研究費を使用する予定である。
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Research Products
(8 results)