2012 Fiscal Year Research-status Report
密度非一様性のある非定常界面の非線形発展に関する数理的研究
Project/Area Number |
23540453
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松岡 千博 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (10270266)
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Keywords | Vortex sheet |
Research Abstract |
密度非一様性のある高次元界面の複雑な形状を高精度で数値計算できる支配方程式および数値計算スキームを開発するという研究目 的を掲げ研究を遂行している。 本研究では、これまで行ってきた2 次元密度非一様流体界面(渦層)の研究を3次元へと拡張し、界面の運動を記述する支配方程式の構築と、それを数値計算できるスキ ームの開発を目指した。現在までに、円筒、ヘリカル(らせん)型について、その支配方程式の導出と数値計算に成功した。この研究 により、密度非一様性があると、完全な軸対称円筒界面から出発しても、時間がたつと、方位角方向に回転運動が生じることがわかっ た。密度が界面を挟んで同じ場合にはこのような回転運動は生じない。従って、この解析により、今まで知られていない全く新しい現 象が発見されたことになる。 また、上記研究の応用として、磁気流体(MHD)中に生じる電流渦層の時間発展に関する研究も開始した。最近、高速で運動する密 度界面に磁場を作用させると、流体界面の近傍で非常に強い磁気的エネルギーが発生することが阪大のグループによる直接数値シミュ レーション(DNS)によって見出された。これは超新星爆発時に放出されるガンマ線バーストの物理モデルとして研究されたもので、こ れにより、従来の理論では説明できなかった放出ガンマ線の異常な強さを説明することが可能となり、観測とよく合う結果が得られた 。私はこのグループと共同研究を行い、その物理的機構の解明をめざしている。 具体的な研究実績としては、平成24年度中に2回の国際会議、6回の研究会・学会発表を行い、研究成果を内外に発信することができた。また、この年度中に4本の学術論文(1本はaccept, 25年6月雑誌掲載予定)を上梓した(このうち3本は筆頭著者)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に記した、密度非一様性のある界面の複雑な形状を高精度で数値計算できる支配方程式および数値計算スキームを開発する、という目的のうち、密度非一様性を伴った円筒型界面に関しては、関連の学会や国際会議等でその成果が発表でき、投稿中論文を含め複数の論文を上梓することができている。従って、上記に関してはおおむね順調に進展しているといえる。 また、磁気界面の研究は本研究申請時には研究予定がなかったが、共同研究者ができたこともあり、新たに研究を始めた。こちらの方もすでに国際会議の招待講演として発表した実績があり、共同研究者とともに論文を発表することができた。おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要の後半部分で記したように、今後は密度非一様性のみならず、磁場を入れた界面の運動についての研究も推進していきたいと考えている。具体的には、まず2次元磁気流体(MHD)で理論を作って数値計算を行い、これが完成したら、3次元MHDで同様の理論構築及び数値シミュレーションを実行したい。この分野は宇宙物理における超新星爆発後の残留物の機構を説明する物理として近年注目を浴びており、本研究がそれに関して大きく寄与できるものと確信している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、旅費とコンピュータソフトウェア関係の購入に研究費を使用する予定である。
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