2012 Fiscal Year Research-status Report
ヘテロエピタキシャル表面での吸着結晶形態の自己組織化
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23540456
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
斎藤 幸夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20162240)
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Keywords | ヘテロエピタキシー / 微細加工基板 / Si/SiO2界面 / 自己組織化 |
Research Abstract |
結晶基板上に異種原子が吸着するヘテロエピタキシャル系で見られる様々の自己組織化現象について計算機シミュレーションと理論解析を用いて研究する。 今年度はシリコン酸化膜上をシリコンの島が蒸発しながら熱拡散するという現象に対し、最も簡単な二次元の高さ1の島の運動を調べ、拡散定数が島のサイズによって変化することから平均自乗変位に非線形な時間依存性が現れること、また平衡から非常に外れた場合には島の縁が自己アフィンとなり、非線形性が対数依存からべき乗則に変わること、そのべきが界面の粗さ指数と動的指数に依存することを見出した。(Physical Review Lettersに掲載。)Si島が有限の高さを持った系については、蒸発にいたる化学反応を簡単化したモデル系を提案し、動的モンテカルロ・シミュレーションを実行中である。 また、吸着結晶粒界の競合について、昨年度の二次元系を三次元系に拡張し、粒界粗大化に対するスケール則を確認した。 微細加工表面での吸着原子結晶の濡れ/脱濡れ現象に関して、ミスフィットに因る格子歪みを考慮したシミュレーションを実行中である。これには非常に長時間の計算が必要であるけれど、濡れへの崩壊が歪みのために途中で停止させられるなど、結晶固有の興味深い現象が見出されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Si島は蒸発に際してSiO2基板に孔を掘る。本研究のシミュレーションでも島と基板の間の界面の形状は実験で見られるような二つの谷を持つ構造を再現できた。島重心の平均自乗変位を含め、実験と様々な面での比較ができる段階に達しつつあり、順調に進展しているといえる。 また、微細加工基板上での吸着島の形態に対しては格子ミスフィットによる弾性歪みの効果を取り入れたシミュレーションがようやくまとめられそうな段階になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
Si/SiO2界面の穿孔現象について、界面の形ばかりでなく、島の拡散定数の島サイズ依存性についても調べ、実験との比較をとおして実験で起きている事柄の理解を深める。また、計算時間はかかるであろうが、シミュレーションを3次元系に拡張し、より実験の状況に近づけたい。 また、微細加工基板上の吸着島に関しては、その歪み効果をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3次元系のシミュレーションのために更にワークステーションを補強する予定である。また、これまでの成果を広く知ってもらうために、国際結晶成長会議に参加して、発表する予定である。
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Research Products
(6 results)