2013 Fiscal Year Annual Research Report
光格子中に2種類の冷却フェルミ原子が共存する系における量子多体効果
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23540467
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
菅 誠一郎 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40206389)
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Keywords | 冷却フェルミ原子 / 光格子 / 3成分内部自由度 / 斥力誘起超流動 / クーパーペアの対称性の制御 |
Research Abstract |
今年度は前年度までの研究で明らかにした、光格子中で斥力相互作用をする3種類の冷却フェルミ原子系における超流動状態のペア対称性を、エリアシュベルグ方程式に基づき調べた。まず、3種類ある斥力のうち、2種類が他の1種類より著しく強い場合、超流動のペア対称性は拡張s波である事を明らかにした。この超流動状態は、相図においてハーフフィリングでのペアモット相に隣接しているにもかかわらず、斥力系でナイーブに予想されるd波超流動ではなく、拡張s波超流動であるという著しい特徴を示す。その起源は、カラー密度波の量子揺らぎである事を、有効相互作用の解析から明らかにした。さらに、3種類の斥力の違いを抑制すると、超流動のペア対称性は、ノードを持つs波→d_{xy}波→d_{x2-y2}波と変化する事を明らかにした。この超流動ペア対称性の変化は、競合する3種類の量子揺らぎの中で、支配的な量子揺らぎが変わる事に起因する。 我々は3年間の研究で、主として、光格子中の斥力相互作用をする3成分冷却フェルミ原子系における超流動を調べた。まず、動的平均場理論を用いて調べた結果、2種類の斥力が他の1種類より強い場合、ハーフフィリング近傍において超流動が現れる事を明らかにし、温度・斥力の比・フィリングに関する相図を得た。次に、斥力の違いを抑制すると、超流動ペア対称性は上記のように変化する事を明らかにした。3成分フェルミ原子ガスは6Li原子で実現している他、171Yb-173Ybフェルミ原子混合系でも実現可能と考えられる。これらを光格子に置いた系で相互作用を制御する事により、光格子中の3成分冷却フェルミ原子系は、超流動ペア対称性を制御可能な量子シミュレータとしての役割を果たす。本研究で得られた知見は冷却原子系の分野だけでなく、鉄系超伝導をはじめとする多軌道を持つ相関電子系ので超伝導の研究にもインパクトを与えると考えられる。
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Research Products
(11 results)