2013 Fiscal Year Annual Research Report
相境界面の運動に着目した異方性ゲル形成の統計力学の構築とその応用
Project/Area Number |
23540475
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山本 隆夫 群馬大学, 理工学研究院, 教授 (80200814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土橋 敏明 群馬大学, 理工学研究院, 教授 (30155626)
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Keywords | ダイナミックス遷移 / 緩和ダイナミックス / 拡散律速 / 界面エネルギー律速 / moving boundary picture |
Research Abstract |
(1)等方的な高分子鎖よりシミュレーションが容易な配向性高分子鎖系で熱力学的不安定性を引きおこす低分子を含んだ高分子鎖溶液系のシミュレーションを行った結果、安定領域では配向性が悪くなるが不安定領域では高分子鎖が凝縮し配向性が高くなることが分かった。これにより、等方的な高分子鎖においても熱力学的不安定化により凝縮・配向が起こると予想できる。 (2)濃厚溶液高分子鎖の緩和のシミュレーションから、濃厚溶液中の高分子鎖ダイナミックスの1体近似描像を探索した。その結果、環境場としてセグメントの化学ポテンシャルを考慮するだけでなく鎖のエントロピー弾性率も環境の変化に伴い変化すると考える必要があることが分かった。(1)の結果を併せて考察した結果、Gauss鎖のLangevin方程式と、高分子鎖の環境変化を記述するエントロピー弾性率と化学ポテンシャルの緩和ダイナミックスで記述する高分子鎖配向ダイナミックスモデルを構築した。 (3)カードラン溶液を塩酸に透析させてゲル化させることができた。ゲル化のダイナミックスは、塩酸濃度が高いときは拡散律速型で、濃度を下げていくと界面エネルギー律速型に変わるこというダイナミックス遷移が起こることが分かった。 (4)カードラン溶液が2価カチオンで架橋できることより、イオン流入によるゲル化、イオン流出・流入によるゲル化、界面エネルギー律速によるゲル化は同一現象における律速過程の違いであることが分かる。この律速過程の変化は、透析外液の組成の違いに起因する高分子鎖の溶媒溶液の自由エネルギーの変化の速度の違いによるものであるという結論を得た。 (5)円筒型DNAゲルによるアクリジンオレンジの吸着ダイナミックスを調べることで、高分子鎖と親和性の高い分子の高分子溶液における拡散挙動は、一般的にMoving Boundary Pictureで記述出来ることが分かった。
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Research Products
(5 results)