2012 Fiscal Year Research-status Report
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23540476
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 修 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60253051)
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Keywords | 放射線、X線、粒子線 / 生体分子 / 内殻励起 / 化学物理 |
Research Abstract |
近年の放射光利用技術の進歩およびX線自由電子レーザのような新しい光源の利用により、軟X線領域における分光学が急速に進展した。本研究では私が今まで培ってきた研究ノウハウを生体分子系に応用する。生体分子系に特徴的な物性の1つであるX線自然円二色性分光法(XNCD)と、近年新しい光源であるX線自由電子レーザを使った研究のうち特に注目されている内殻二重イオン化状態(DCH)の計算手法を構築する。 まずXNCD法について述べる。研究協力者であるPettersson教授と議論したところ、昨年度開発したXNCDスペクトルの新規コードでは計算した物理量が座標原点に依存することが判明した。本年度はこの不具合を修正することに費やした。テスト計算をアミノ酸で行い、スペクトル強度が原点に依存しないことを確かめた。また結晶構造をもとにしたXNCD計算を行い、単分子での挙動と異なる興味深い結果を得た。 次に内殻二重イオン化状態の計算では、今までの計算結果をまとめ総括する報告を1報報告した。 次のステップとして、次年度に液体状態のアミノ酸のXNCD計算を行うため、分子動力学プログラムパッケージ”Gromacs”を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上で述べたように現在のところXNCD法は当初計画どおりに、DCH状態の計算は当初計画より研究は進んでいる。XNCD法については、実験スペクトルとの比較を目指し、液体状態におけるアミノ酸に対し理論計算を行う。計算はすでに田中、泉らによって実験報告のあるアラニン、セリンについて行う。 内殻二重イオン化状態の計算は密度汎関数レベルの計算についてはほぼ目的は達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
XNCD法について、現在第1報をまとめている。次に液体状態のシミュレーションを行う。二重正孔状態の理論計算では、光電子と同時に観測されるオージェ過程の理論計算を行う。実際の計算はLCLSで実験が行われているアミノフェノールについて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は3年間の研究の最終年度であり、予算は多く計上しなかった。主に消耗品と学会発表による国内旅費に使用する。
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Research Products
(8 results)