2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロな分子とマクロな固体での反磁性超電流の関連性の解明と室温超伝導実現への応用
Project/Area Number |
23540482
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
加藤 貴 長崎総合科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10399214)
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Keywords | 室温超伝導 / ベンゼン分子内クーパー対 / 分子性超伝導 / 分数電荷 / 状態密度 / 電子-フォノン相互作用 / 場の量子化 / ボース粒子 |
Research Abstract |
1. 最近、ドイツ、ライプチヒ大で水中撹拌グラファイトの室温超伝導発現の兆候が報告された。この物質の室温超伝導発現は我々のグループにより2008年に理論予測されていた。また、この現象は、我々が2007以降、提案していたメカニズムで説明出来得るので、再検討した。その結果、この現象は我々が提唱した理論で説明出来る事を改めて示した。 2. 一分子内ベンゼン内でクーパー対発見の報告が、スイス、Paul Scherrer研究所、アメリカ、ウィスコンシン大からあった。この現象は、我々が2007以降、提案していたメカニズムで説明出来得るので、再検討した。 3. 昨年度に海外のグループによってnature scientific reportsで発表された超伝導物質、dibenzopentaceneの電子-フォノン相互作 用と超伝導性発現に関する理論的研究を行った。芳香族炭化水素における高温超伝導性の設計指針は、2002年に我々のグループによっ て提案されているが、nature scientific reportsではそのことを引用して、高温超伝導設計指針を提案している。これに対し、我々 は、注入電荷と電子-フォノン相互作用の強さとの関連性を考察することにより、2002年の指針より詳細な高温超伝導設計指針を提案 した。具体的には、閉殻電子構造に対し、注入電荷が分数(0.5~0.9)程度で、フェルミレベルにおける状態密度が非常に高くなり、そ れにより電子-フォノン相互作用が非常に強くなり、高温での超伝導性発現に繋がることを示した。 4. 電子-フォノン相互作用を場の量子論でどのように記述できるかを定式化した。2次課程の電子-フォノン相互作用では電子対生成に繋がりうることを新たな数式を誘導して説明した。 また一電子は必ずしもフェルミ粒子として振る舞うとは限らず、ボーズ粒子の性質も持つ事を説明した。
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