2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540485
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
日置 幸介 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30280564)
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Keywords | GNSS / GPS / 可降水量 / 電離圏全電子数 / 気候変動 / 電離圏擾乱 / 地震前兆 / ロケット |
Research Abstract |
GPSを代表とする衛星測位システム(GNSS)の稠密観測網を用いて、従来の目的である地殻変動以外の様々な分野における利用方法を開拓するのが本研究の目的である。GNSSは水蒸気を計測することによって対流圏の有用なセンサーとなりうる。本研究では日本列島の稠密GPS網で得られた水蒸気量(可降水量)の1990年代から現在にいたる時系列を解析し、太平洋十年振動と思われる長周期の変動やエルニーニョ南方振動に起因する日本列島の暖冬を反映した水蒸気量の異常等を確認することが出来た。これらは吉田・日置(2012)として論文発表された。 GNSSは複数の周波数における搬送波位相の差から電離圏全電子数を観測することができる。2009年にはロケットの排気による電子数減少を利用して北朝鮮からのミサイルの軌道や推力を推定することに成功した(Ozeki & Heki, 2010)が、2012年12月に北朝鮮から打ち上げられたロケットに関して同様の観測を行い、ロシアのGNSSを用いて黄海中央部に生じた電子の穴を確認することができた。本成果はNakashima & Heki (submitted)として論文投稿済みである。また研究開始当初は予測していなかった成果としてスポラディックE層の二次元マッピングに成功し、論文発表を行った(Maeda & Heki, Rad. Sci. 2013)。 最大の成果として、2011年東北沖地震直前に震源上空で電離圏全電子数が増加する現象を発見し(Heki, GRL 2011)、地震の直前予知の新しい可能性として話題となった。これについては議論が継続しているが、GNSS以外のさまざまなセンサーによる観測データと比較して本現象を多角的に吟味した論文を Heki & Enomoto (JGR 2013)として発表した。このように本研究では多くの成果が論文として発表されている。
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Research Products
(11 results)