2012 Fiscal Year Research-status Report
本震直後の余震活動の解明:地震波振幅を用いた震源とメカニズム解の同時推定
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23540487
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小菅 正裕 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (90142835)
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Keywords | 余震 / 震源 / メカニズム解 / 時間変化 |
Research Abstract |
余震は本震の断層の大きさや運動のしかた等の重要な情報を含んでいて,本震直後の地震活動を把握することが特に必要である.しかし,その時間帯は余震が頻発するために通常の方法では震源決定が困難であることから,本研究では地震波の波形を用いて震源位置と震源メカニズム解を同時決定する方法を開発し,それらの空間的及び時間的変化を明らかにすることを目的としている.24年度には以下のような研究を実施した. 地震波の波形を用いて震源位置を推定する方法は,基準とする地震(テンプレート)との相関を用いて地震を検出することと,テンプレート波形との時間差を用いて震源を決定することに分けられる.この際,適切なテンプレートを選ぶことが重要なので,地震波形の相関を用いて地震をグループ分けした結果を用いてテンプレートの選択を行う方法を採用した. テンプレートを用いた地震の検出は以下のように行った.まず,観測点へのP波到達時刻をウィンドウの開始時刻としてテンプレートとの相互相関係数を計算し,全観測点の3成分平均値を求める.次に,相関係数が大きい順に地震発生時刻とテンプレート番号を抽出する.これを相関係数がしきい値を下回るまで繰り返し行い,地震を検出する.この方法を2012年の岩手県沖の地震群に適用した結果,気象庁一元化処理震源の倍程度の地震を検出することができた.検出結果がフィルターの帯域,テンプレートの長さ,観測点数へどのように依存するかについても検討した. マグニチュードは,テンプレートと連続波形それぞれのエンベロープ振幅比を用いて決定した.その結果を気象庁によるマグニチュードと比較し,改善すべき点を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テンプレートの選択法は確立することができた.波形の相関を用いてグループ分けを行っているので,同一グループの地震は同じメカニズム解をもつものと考えられ,メカニズム解が未知の地震にはテンプレートと同じメカニズム解を与えることで,多数の地震のメカニズム解を求めることが可能になる. 地震の検出法もほぼ確立した.検出結果は,フィルターの帯域,テンプレートの長さ,観測点数に依存するので,これらのパラメータをどのように定めたらよいかの検討は残されている. 検出された地震の震源はテンプレートの位置に近いと考えられるが,テンプレートとの走時差を用いた相対震源決定を行う必要がある.マグニチュードの決定も試みたが,時間ウィンドウの選び方に関する検討が必要である. 海域で発生した地震の場合に,海底面反射のsP波を含むグループを検出することができた.このグループについては,sP波とP波の走時差を用いることで震源の深さを精度良く推定できる.このグループを基準として,sP波を含まないグループの震源位置を改善できる可能性がある.
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Strategy for Future Research Activity |
地震の検出を行うことはできるようになったので,検出した地震とテンプレートとの走時差を用いた相対震源決定を行うことが最も重要である.これは,テンプレートの震源の周りでグリッド・サーチによって求める.地震のマグニチュードは,テンプレートとのエンベロープ振幅比と既知のマグニチュードとの回帰係数を求めることで行う.メカニズム解は,テンプレートの解の周辺でエンベロープ振幅比をデータとするグリッド・サーチによって決定する.以上によって,本震発生直後の震源・マグニチュード・メカニズム解を決定し,震源位置やメカニズム解分布の時間変化が,本震からある程度時間が経過してからの推定とどのように異なるのかを検討する. 以上について,国際学会での発表を行って批判を受け,論文を執筆して投稿する.また,研究成果報告書を作成して印刷する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
波形データやデータ処理結果を保存するためのメディア,研究を進める上で必要な消耗品費,データ収録・変換作業補助者への謝金,国際学会での成果発表のための旅費,論文投稿のための英文校閲費,研究成果報告書の印刷費として使用する.
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Research Products
(4 results)