2012 Fiscal Year Research-status Report
内陸地震震源域における地震波減衰構造の時間変化の研究
Project/Area Number |
23540488
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
津村 紀子 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00272302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 良浩 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (80283092)
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Keywords | 地震波減衰 / Q値 / 内陸地震 / 能登半島地震 |
Research Abstract |
昨年度開発したP 波とS 波のスペクトル比データからQp/Qs 分布も求める方法を,2007年の観測で得られた地震波形データに適用した.能登半島西岸部にある観測点で取られた波形スペクトルから推定されるQp/Qs値を見ると,断層近傍を通る波線では相対的にQp/Qs値が2.25より大きくなるかQp/Qs値が1以下となる傾向があるのに対し,震源断層の外側を通る破線ではQp/Qs値は1~2.25の値を取ることがわかった.内陸域の観測点で取られた波形スペクトルから推定されるQp/Qs値ではこの傾向は必ずしも明瞭ではなかった. 次に2011年の観測で得られた地震波形データにも同様の方法を適用した.2007年の観測で得られた地震とほぼ同じ位置で発生した地震データはほとんど取れなかったので,単純な比較は難しい.ただ,いくつかの地震で比較的近い領域を通る波線に対し推定されたQp/Qs値は,2007年のデータに対して得られたのとほぼ同じ値となった.推定誤差が大きいため慎重に検討が必要であるが,今回解析したデータでは2007年時に比べて地下構造が時間変化したという明瞭な証拠は得られなかった. 上述の解析と平行して2012年5月9日~10月25日まで,2007 年の地震発生直後に行われた臨時地震観測点のうち10点と同じ位置で臨時観測を行った.このデータは今後の解析で2007年,2011年時のデータとの比較に使う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度の進捗状況はやや遅れている.これは今年度の観測データの解析前処理を依頼する予定だった大学院生が体調不良で大学に来なくなったため,その作業を研究代表者が替わりに行い,解析データの検討時間が十分取れなかったためである.
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度前半は,2012年度に得られたデータからQp/Qs値の推定を行います.年度後半から,2012年度に収録された地震波形と2007年度,2011年度の波形の比較を行い,地下構造に時間的変化が見られるかの解析を行います.2012年度は2011年度に比べ,観測点数が多く,かつ観測期間が長かったため,比較する地震数が増えると期待されます.そのため,統計的にも検討を行いたいと考えています.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度の配分額のうち約28万が次年度使用となりました.これは今年度の観測データの解析前処理を依頼する予定だった大学院生が体調不良で大学に来られなくなったため,その作業を研究代表者が替わりに行い,データ処理を行ってもらう謝金として予定した予算が余ったためです.この研究費は次年度行う解析の前処理を行ってもらう院生への謝金として使用する予定です.その他の仕様用途に変更はありません.
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