2013 Fiscal Year Research-status Report
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23540489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩原 肇 東京大学, 地震研究所, 准教授 (60211950)
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Keywords | 観測手法 / 海底地震計 / 傾斜観測 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまでに実用化されていない海底での傾斜変動観測を、学術的成果が得られるよう面的に実現可能とさせる基礎技術の開発にある。既に開発の第一段階を完了させた最新の次世代型広帯域海底地震計(BBOBS-NX)をその開発での基盤技術とし、実証的試験観測を本研究で行うことにより、その観測手法の妥当性を検証し、実用化への道を見いだすことを狙う。 本年度は、昨年度の試験観測で基本性能を確認したBBOBST-NXを用い、昨年度中に確保した、海洋研究開発機構の深海調査研究公募での無人潜水艇による潜航作業の航海(なつしま、ハイパードルフィン:NT13-07)で、2013年4月にBBOBST-NXを無事設置した。これは本格的な長期試験観測として、定期的にスロースリップイベントが発生する房総半島東岸を観測地点とした。これまでにBBOBS-NXを設置した深海底と異なり、この地点は約1400m水深で海面での潮流も速いので、底層流を含む環境を同時観測するため、自己浮上型のドップラー流向流速計(OBDC)もBBOBST-NXの近傍に配置した。 2014年1月に、この設置地点に隣接する北側の領域でスロースリップイベントが発生しており、本観測でどのよううな海底面での傾斜変動が見られるのか、非常に興味深い結果が期待される。 また、この回収航海を実施する為、海洋研究開発機構の深海調査研究公募へ応募し、2014年4月に無人潜水艇による潜航作業を実施する機会を確保した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実海域での試験観測データが得られなかったことによるH23年度での遅れは、H24年度の試験観測が無事に終了したことで取り戻すことができた。更に、本年度は本格的な長期試験観測を開始したことで、当初計画の予定に近い研究段階へ進めることができた。 BBOBST-NXと同じ構造のBBOBS-NXでの複数回の観測事例を通した、無人潜水艇を利用した設置・回収での作業内容からは、このBBOBST-NXは海底面に理想的な状態で展開し、容易に回収できることが確認できている。本研究での核となる、広帯域地震センサーのマスポジション信号(加速度信号)を使った傾斜データの取得も問題無く行われている。但し、本来ならば半年以上の長期間連続観測を行うことでセンサーが機械的に充分安定した状態でのデータ取得が理想的であるので、この点ではまだ充分に評価できるデータを得ることができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度(2014年4月)に長期試験観測を完了する機会が確保されているので、これを無事に実施する。この長期観測を通じて、これまでに経験のない水深1400m程度の浅い海域である房総半島東岸で、スロースリップイベントに伴う傾斜変動を捉えられるだけの基本的性能が得られているか、実際に発生したスロースリップイベントによる変動がどの様に記録されたのかを実地検証する。 今年度の試験観測で得たデータについて、同時に設置した流向流速データも利用した解析を進め、その暫定的成果を国内外の学会で成果発表する。本最終年度には長期観測データが得られるので、本来の研究目的をこの観測手法で達成できるのかを綿密に検証し、成果を取り纏め学会誌などで発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
観測航海日程が想定よりも短くなった。 試験観測結果から、長期試験観測に用いているBBOBST-NXへの改修が不必要となったことで、物品費が削減された。 成果発表をより多く行うために充てる。
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Research Products
(3 results)