2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩原 肇 東京大学, 地震研究所, 教授 (60211950)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 海底地殻変動観測 / 傾斜変動観測 / 広帯域地震計 / スロースリップイベント / 深海底 / 海底地震計 / 底層流 / 水温変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2010年に実施した陸上試験に引き続き、2011年7月~2012年1月に最初の海域試験観測を南海トラフ域で実施したが、センサー容器の一部で浸水がありデータを得られなかった。そのトラブル対応を済ませたBBOBST-NXを、四国海盆南西端での他の試験目的と合わせた試験観測として、2012年11月~2013年2月に行い、データを取得した。これらの試験観測では海底での計測環境を知るために流向流速(・温度・水圧)も連続観測している。生データに見られる長期トレンドを関数当てはめにより取り除いた後、潮汐信号をbaytap08プログラムで除去し1週間長の移動平均をかけた。水深4900mの深海盆で、水温変動が±0.03℃程度という環境下では、センサー自体に因ると思われるふらつきは±0.4マイクロrad以下に収まっていた。この成果を元に、2013年4月から1年間、実際にスロースリップイベント(SSE)が数年間隔で発生している房総半島沖(水深1400m)で、より現実的な環境下での実用試験観測を実施した。この観測期間中、2014年1月に設置地点ほぼ直下でSSEが発生した。2014年4月にBBOBST-NXを回収し、その解析を進めた。1年分のデータには、センサーの振り子位置が大きくずれたのを戻す際の大きなステップ等が見られたが、データをシフトさせて関数当てはめを行い、ほぼ全観測期間の傾斜変動を得た。この観測地点では底層流の最大速度は35cm/sにも達していたが、SSEに伴うと考えられる傾斜変動を捉えることが出来た。このような状況下であっても、5マイクロrad以上の傾斜変動が発生すれば、このBBOBST-NXにより充分に検出可能であり、SSEなどの発生領域直上に展開可能なことから大きな変動が予想される点でも、このような海底面での傾斜変動観測の有効性は検証されたと考えられる。但し、傾斜変動には年周変化が含まれている可能性があるので、より長期の試験観測を2015年から2地点で開始する。
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Research Products
(5 results)