2013 Fiscal Year Annual Research Report
高密度地震観測データ解析と大規模数値計算に基づくフィリピン海プレートモデルの構築
Project/Area Number |
23540490
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古村 孝志 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (80241404)
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Keywords | 地震動 / 地殻構造 / プレート |
Research Abstract |
不均質な地殻・マントルを伝わる周期1秒以下の短周期地震動を支配する、数km以下の短波長不均質構造を観測データと数値シミュレーションに基づき定量評価し、広帯域(周期10秒~0.1秒以上)の強震動予測のための高分解能地下構造モデルを構築することを目的として、(1)高密度地震観測(Hi-net)波形データ解析による短波長不均質分布の推定、(2)散乱理論に基づく短周期地震波伝播の理論的考察、(3)大規模並列シミュレーションと、観測波形データの比較による不均質モデルの評価、の3に基づく研究を進めた。 本研究の最終年度である平成25年度には、総まとめとして、太平洋プレートとフィリピン海プレート(海洋リソスフェア)を伝播する高周波数Pn/Sn波(Po/So波)を海底地震観測データの解析と不均質媒質内の地震波伝播の数値シミュレーションにより評価し、リソスフェア内の横長の形状を持つ短波長不均質構造における高周波数地震動の強い散乱と閉じ込めによりPo/So波の特徴である長いコーダと遠距離伝播を実現していることを確認した。また、不均質な地殻構造内をS波の広角反射により伝播するLg波の伝播特性の地域性ついて、日本と韓国の高密度地震観測データ解析から評価するとともに、Lg波が日本海を伝播しない原因について、地殻構造モデルと地震波伝播の数値シミュレーションの比較から検討した。そして、大陸~海洋地殻への変化に伴う地殻の厚さ変化に伴う、Lg波エネルギーのマントルへの散逸と、海水におけるLg波エネルギーの損失の2つの効果により、急激なLg波減衰が起きていることを明らかにし、広帯域地震動シミュレーションにおける海水層の影響や地殻の不均質性の影響を再確認した。
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